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女の友情と結婚の微妙な関係

友情を感じる女性二人の間に、男が入ってくるとどうなるのか?
つまり、片方の女性が結婚し、男と暮らし始めるとどうなるか?
シャンソンとフランス語の両方に深くかかわった二人の作詞家、岩谷時子と安井かずみのの場合は、どうだったのか? 実例で解説してみたい。

メッセンジャーになった岩谷時子

越路吹雪をマネージャーとして、訳詞家として生涯支え続けた岩谷時子。
固く結ばれた二人の友情は永遠である、というのはテレビドラマでの話で、越路がピアニスト・内藤法美と結婚してからは微妙な影を落としたことは否めない。
戦争中には越路吹雪は岩谷時子の家に居候していて、岩谷の母親は二人目の娘のように接していたと言う。戦後、越路が宝塚を退団し東京へ進出した時も岩谷は東宝の社命でお目付け役としてマネージャーを拝命し同時に上京している。公私ともにずっと一緒だったわけである。
越路が1957年に四谷若葉町に自分の家を持ってからも二人の蜜月関係は続いていたが、彼女が内藤法美というピアニストに恋したあたりから状況が変わった。

もともと越路は、ピアニストに弱かった。男性のピアニストが自分のために伴奏してくれていると、自分への想いを奏でてくれている気がするのだそうだ。だから、内藤の場合も岩谷はいつものことだろうと思っていた。
それで、越路が大阪の梅田コマ劇場に出演している時、内藤の所属するキューバンボーイズも大阪で仕事していることがわかり、岩谷はメッセンジャーになって彼女の手紙を内藤のもとに持って行った。詮索するつもりなど無かった。ところが…

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