#50 「がんばって」という言葉の使い難さ
誰かを応援するときや励ますとき「がんばって」といってしまいがちです。『がんばって』という言葉を躊躇することが増えました。
がんばってという言葉について、考えをまとめました。
『がんばって』という言葉、以前はよく使っていました。でも、看護学生時代「『がんばって』という言葉が相手を追い詰めてしまうことがあるから慎重に使わないといけない」と教わりました。
既にがんばっている相手に対して『がんばって』と言ってしまったら、その人は「今も精一杯がんばってるけど、もっとがんばらないといけないんだ、どこまでがんばればいいの?」と途方に暮れてしまったり、できない自分を責めてしまうからだそうです。
臨床で看護師は「がんばってリハビリしましょう」とか「がんばって食べましょう」など、がんばれの安売りをしています。一方で、プライベートで「大変な仕事だよね、がんばって」と言われることも少なくありません。
自分の経験を考慮すると、励ましや応援のために言ってくれた『がんばって』という言葉が、嫌味に感じることも正直あります。
私たちは一般的に「がんばる」という言葉を「ポジティブな応援」というニュアンスで用います。これは、本来の言葉の意味とは少し異なるようです。
諸説ある「がんばる」の語源のひとつが「我を張る」で、無理にでも自分の意志を通そうとすることだったり、言葉の意味として、苦痛に耐えて目的を達成するという意味も含んでいて、ネガティブな印象が否めません。
そんな意味をなんとなく感じとるから、言われたときの違和感・不快感につながってしまうのかもしれません。
では、『がんばる』以外の言葉で、気軽に、且つ前向きな励まし言葉って何があるでしょうか。
私がプライベートでよく使うのは、「応援してる」「悔いの残らないようにね」「たのしんで」などです。これが正しいのかどうかもわかりませんが、前後の言葉を選べばネガティブな意味合いを感じにくいと信じています。
仕事中に『がんばる』という言葉を使うときは、「がんばって〇〇してますね」と言った具合に、既にがんばっている現状を言葉にして伝えるときです。
これかする行動について『がんばりましょう』とは言わず、目標や結果など、具体的なことに結びつけながら提案することが多いです。例えば、「がんばって食べましょう」ではなく、「このゼリーは栄養があるので、これだけでも挑戦してみませんか」と言った具合です。
私たちは幼い頃から『がんばって』とか『がんばる』という言葉が、周りにあふれていたため、馴染みすぎてつい乱用しがちです。しかし、発する側が、その言葉が与えるプレッシャーに無頓着だと、そこに含まれたネガティブ要素が相手に伝わってしまい、本来の意味での応援や励ましにはりません。公私問わず『がんばって』の使い方には注意していきましょう。
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