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3. 小論文試験の解答テクニック【無料記事】

解答への道筋を認識して反復練習

日比谷高校の推薦入試小論文は、二つの問に対する解答を50分で完成させることが要求されます。

二つの問の字数は合計で600字前後。とにかく時間がありません。

解答を作るための流れを分解すると、以下のようになります。

1. 設問を読み完全に理解し、求められている回答をイメージし、そのイメージに基づき資料を分析する観点を明確化

2. その分析観点から、それぞれの資料(+設問文章中の解説部分、もしあれば)から要点を抽出し、複数の資料の要点を組み合わせることで浮かび上がってくる新たな事実を確認、これらをコンパクトな箇条書きにまとめる

3. 2で作った箇条書きに基づき、必要に応じて自らの考えや主張を組み立て、字数制限を意識しながら仮解答を作成し字数をカウント

4. 仮解答に手を入れて制限字数内で説得力のある文章を作成し、誤字脱字や論理の飛躍の有無を最終的にチェックし、解答を完成させる

これらの作業を50分という限られた時間で行わなければいけません。

1がしっかりできていれば、2は自然にできます。設問の文章中にヒントがあるケースも多いです。1〜2の流れがしっかりできていれば、論理的な解答が自動的に完成します。

したがって1の「設問を完全に理解し、資料分析の視点を明確化させる」ことが一番重要です。解答中も常に設問からずれていないか、設問を何度も見返すのがいいでしょう。

このパターン演習を何度も何度も行うことで、限られた時間で効率よく解答する方法が学習でき、合格が可能になります。

このNoteの過去問の解説では、上記のステップをどのように踏んで解答を作成するのか、毎回詳細なアドバイスがあります。

解答のテクニック

自分がどれぐらいの速さで文字を書くことができるのかをまず確認

自分がどれぐらいのスピードで文字を書くことができるか、ご存知ですか?200字書くのに何分かかるかわからずに、200字の解答を50分の試験時間で作るのはリスクが高すぎませんか?

何度も言いますが、日比谷高校の推薦入試小論文解答作成の時間は本当に短く、限られています。当然のことですが、素晴らしい仮解答が作れたとしても、それを試験時間内に解答用紙に書き込めければ合格することはできません。

まず初めに、新聞でも教科書でも問題集でもこの記事でもなんでもいいので、100字分の文章を見つけてきてそれを紙に書き写し、それにかかった時間を測ってみてください。

人によっても異なりますが、おそらく150秒程度はかかるのではないでしょうか。

ということは、200字の解答を解答用紙に書くためには最低でも300秒、つまり5分かかるということです。試験時間は50分ですので、最悪でも45分経過した時点で本解答を作成し始めないと時間切れとなります。

その時間のイメージがあれば、50分という限られた試験時間を上記の7つのステップでどう配分すればいいのかの目安がわかり、焦らなくても良くなります。

箇条書きは一行20字で作り、字数カウントに取られる時間を減らす(非常に重要)

ステップ4の本解答の作成にあたっては、限られた時間の中で、決められた字数で解答をまとめることが極めて重要です。

200字から240字以内で答えなさい、と言われれば200字書けばいいか、と思うかもしれませんが、最低でも200字と240字の中間、220字はクリアし、ベストは230字以上で答えることです。

そこまで精度を高めた解答を限られた時間で作成するためには、どうしたらいいのでしょうか。

重要なことは、ステップ2で箇条書きを作る時に、解答用紙と同様に一行20字を目安に箇条書きを作っておくことです。

まず、最初の箇条書きを作るときに一行20字で書きます。
以降は一行目の文字幅に合わせて二行目以下の箇条書きを作ります。

そうすることで、短時間で字数をざっくり把握することができ、時間の節約と解答精度の向上につながります。

そして本番でも一行20字を目安に箇条書きをつくり、それをもとに仮解答をまとめます。そうすることで、限られた試験時間の中で字数カウントに使う時間を節約することができ、内容を充実させることに時間を振り向けることが可能になります。

「4つの図から要点を読み取り200字〜240字で答えよ」という設問の際は、4つの図の要点を一行20字でまとめ、それぞれの要点を導入部分と接続詞などでつないで文章を作ることになります。

4つの要点につきそれぞれ字数カウントができていれば、

日本の特徴は、(図1の要点30字)である。その理由は、(図2の要点40字)だからだ。したがって、(図3の要点40字)と考えられ、(図4の要点50字)である。

という仮解答が、図1から図4の要点文字数30+40+40+50=合計160字に、接続詞その他約30字を足した約210字であるということが短時間で把握できます。

これにより、「本解答を作成する時にあと20字ほど詳しく書く必要がある」とすぐにイメージしながら解答に取り掛かることが可能になります。

資料から読み取れる事実と自分独自の意見をはっきり区別する

重要なのは「資料から読み取れること」と「自分独自の意見」をはっきり区別することです。

「そんなの当たり前じゃないか」と思うかもしれませんが、驚くほど混同しがちです。設問をよく読み「資料から読み取れることを述べよ」という設問には自分独自の意見を加えないことが重要です。

解答にて議論すべき論点の数をチェックする

「3つの選択肢のうちでどれがベストと考えるか示し、その理由を説明し、他の2つの選択肢の短所を述べよ」という設問があったとします。

この場合、「選択肢の提示」、「それを選んだ理由の説明」、「他の2つの選択肢の短所の説明」を行うことが要求されています。

したがって合計で1つの提示と3つの点について議論/説明をしないと回答にならないことに当然気づかなければなりません。

1つの提示と3つの議論をしないといけないことがわかっていれば、制限字数から提示部分の字数を引いて、1つの議論あたりの字数の目安をつけてから仮解答を作り始めることも重要です。(実際には「それを選んだ理由の説明」と「他の2つの選択肢の短所の説明」で費やす字数は前者の方が多い方がよいので、字数の目安は前者2に対して後者選択肢1つにつき1、合計4のイメージになり、4で割った字数が目安になります)。

結論は初めに述べる

5の仮解答を作るにあたって、「〜を示し、あなたの考え/理由を述べよ」「どれを採用するかを理由とともに述べよ」という設問については、基本的に「まず結論を書き、それから理由を述べる」ことをお勧めします。理由を長々書いた後で、結論を書くのは避けた方がいいでしょう。

漢字の書き方に自信がないときは別の単語を使う

誤字脱字も当然減点の対象となるので、特定の単語の漢字の書き方に自信がないときは、制限字数ができるだけ犠牲にならないことを意識しながら違う単語に言い変えることも重要です。

消える消しゴムは重要

また、本解答を書き始めても大幅に書き直したくなることがあるかもしれません。焦らないためにも、つまらないことですが柔らかくてよく消える消しゴムを持っていくことを忘れないようにしてください。

最低字数は絶対にクリア

指定された字数の下限に達しないとほぼ確実に不合格になることを覚悟しないといけないので、本当に時間がなくて字数が足りなくなってしまいそうになったら、クオリティが下がっても、殴り書きでも、最悪未完でもいいので最低の字数はクリアすることが重要です。


では、ここまで読み終わったら実際に令和4年度の問題の解き方の解説を見てみましょう。


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