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「バテン・カイトス」をリタイアした話/やりたいことリスト#44

※この記事には「バテン・カイトス」に対する批判が含まれています。このゲームがお好きな方はご覧にならないほうがよろしいと思います。

 私がやりたいことリストに「バテン・カイトス」を加えたのは、Youtubeでこのゲームを紹介する動画を見て心惹かれたからだった。後にも述べるが、今になって考えるとそれは非常にタチの悪いもので、ストーリーの核心に触れるようなネタバレをしていた。同じ愚を繰り返したくないので、別の例えを使うが、「ヒロインが最後に死ぬゲーム3選」とか「主人公が実は死んでいたゲーム3選」というような形で、タイトルを見た瞬間に、これから勧めようとするゲームの面白さを根こそぎ引っこ抜いてしまうようなshort動画だったのだ。では何故そんなものを見た後にわざわざプレイしようと思ったのか?例えば、読者の方がヒロインが死ぬのを見るのが三度の飯より好きだとすれば、動画を最初だけ見た瞬間に「まぁ、ネタバレは食らってしまったけれど、ヒロインが死ぬのは見たいからやってみようか」と思うかもしれない。
 要はネタバレを見てしまった後でも、その設定に惹かれたのでプレイしたいと思ったのだ。ちなみに動画を見たといっても、タイトルと設定だけを序盤に話すのを聞いたら、すぐに視聴をやめて、必要最低限の情報で挑みはした。結果的には無駄な試みだったのだが・・・。記事タイトルにも書いた通り、途中でつまらなくなって止めてしまった。とはいえ、一応やりたいことリストに入れた以上、記録の為にも残しておこうと思って、本noteを書いている。


楽しめなかった点

 大前提として、なぜ千円札4枚を財布から引っ張り出して買ったのに途中で断念したかといえば、それはこのゲームを進行するのが退屈で苦痛で仕方がなかったからだ。それには大きく分けて以下3つの理由があり、それを今から書いていくが、どれも非はゲームだけにあるのではないということは先に断っておく。

進行上の面倒くささ

 言うまでもなく、私がプレイしたのは「バテン・カイトスⅠ&Ⅱ HD Remaster」だ。リマスターとあるように、元々は2003年と2006年にそれぞれゲームキューブ用に発売された元祖「バテンカイトス1&2」を、HD化したり、より遊びやすくなるように新機能を付け加えたりして、switch版として発売している。
 ただ、やはり元が昔のゲームなので、システムの面倒くささが目についた。画質が向上しても、ストーリーの進行には(おそらく)ほとんど変化がないので、やらなければいけないことも変わらないのだ。このゲームをやってみたことのある人なら1度は気づくことがあると思うのだが、やたらと二度手間が多い。一旦A地点からB地点に行ってみたら、必要なアイテムが無いのでA地点に戻るということがままある。問題はそれのみならず、歩くのが非常に遅い。牛歩とは言わないまでも、後ろを歩いていたら誰だって追い抜きたくなること間違いなしだ。
 一番厄介なのはそれらが組み合わさった時である。一例を挙げるとこうだ(下に写真添付)。花の街コモ・マイの一番奥の宮殿で御用を命じられて、宮殿の長い階段を下りて、中央通りを抜けて、市場からマップ画面に出て、天の樹なる巨木の麓に行き、その頂上までひたすら上って、途中で確定のエンカウントエネミーを倒して、頂上に着いたと思ったら・・・・必要なアイテムがありませんでした!仕方なく同じ道で宮殿まで戻ってアイテムを取り、同じ道でまた頂上まで行く。業務効率化が叫ばれる現代で、こんな手間暇に耐えられるのは市役所の職員くらいだろう。もちろん昔のゲームだから仕方がないと言えば仕方がないのだが、どんな時代にだって忘れ物をしないように声を掛けてくれる親切な人はいるはずだ。その辺りをもう少し頭に入れて設計してくれればよかったのだが・・・。
 こういうことを書くと、「今の若者は生き急ぎすぎている、すぐに答えを見たがる、すぐに時短だタイパだ言い出す…」なんて嘆息する方もおられるかもしれない。実際、そうした批判には真実が含まれている。ただなんぼなんでも「Z世代は走るな、歩け!」とまでは言うまい。ところがこのゲームは先述の通り、移動がやたらと遅いのだ。おかげさまでマップの端から端まで両足二本でちんたらちんたら進んでいくことになる。
 同じことはまだある。しかし書かない。冗長なのは嫌だと言ったばかりだから。
 なお、一応擁護しておくと、リマスター版の新機能でゲーム速度を速めることができるようになっている。2、3倍速を選べるので、明らかに時間がかかりそうなときはこの速度を変えるといい。ただ少し難点もあって、ゲーム中どんな場面でも速度を変えられるというわけではない。だから厄介なのは、倍速中に戦闘が始まると少し操作が難しくなったり、ムービーに入ってしまうと人間が倍速で動く滑稽劇を見せられてしまう。こまめに設定を変えればいいと言う方もいるかもしれないが、忘れていたり、面倒だったり、予期せずイベントが起こることもある。とはいえ、旧版の煩わしさを改善するための工夫なので、もっと柔軟な方がうまく使いこなせば、ゲームのストレスを和らげてくれるとは一応書いておく。


宮殿
長い階段を下りる
中央広場を奥から手前へ
市場(見にくいが中央上から右下へ迂回して左手の出口へ行く)
左から二番目の印の場所から右下の天の樹へ
天の樹の麓
上って
上って
上って
大変見にくいがエンカウントしている
さらに上って頂上へ。ここでアイテムが足りないことを知り、宮殿まで戻って、ここに帰ってくる

戦闘の面倒くささ

左下:制限時間 中央下:手札(攻撃時なので攻撃カードが光っている。暗いのは防御カード)

 戦闘システムを簡単に解説すると以下のようになる。6人のキャラクターが仲間におり、それぞれに20~60枚のカードからなるデッキを構築する。戦闘中はそのデッキからランダムに数枚が選ばれて手札となる。カードの種類には攻撃、防御、回復などの種類があり、必要に応じて使い分けていく。戦闘システムで特筆すべきは制限時間で、キャラクターが手札からカードを選ぶのにもそれぞれ決められた時間があり、それを過ぎればコマンドは失敗となる。では実際プレイしてみて何が嫌になってしまったのか?それは戦闘のテンポだ。

 まず普通の速度で戦ってみると、あまりの動きの遅さに驚かされる。木曜日の朝かと見紛うぐらい鈍重に動くのだ。剣を振らせれば下手くそなチャンバラ劇を見せられ、魔法の弾の速さは幼稚園児のドッジボールと変わらない。これじゃあダメだと、例の新機能を駆使してバトルスピードを2倍にしてみると、今度は制限時間も2分の1になるからこれはこれで難しい。とはいえ、いったん慣れてしまうと普段は2倍速で進められる。しかし、問題はボス戦である。やたら目まぐるしく攻撃が行われるとき、プレイヤーは素早く防御コマンドを選び取らなければいけない。また、攻撃コマンドや回復コマンドも時々に合わせて有効に選ばなければ、強い相手には簡単に負けてしまう。そうなると等倍速に変えなければいけないのだが、やっぱりこれも一々変えるのが面倒な上に、再びチャンバラ劇を見せられる羽目になる。
 他にはコンボの問題がある。攻撃は手札から攻撃カードを一枚選んで終わりではなく、クラス(習熟度のようなもの)に応じて決められた枚数まで取り続けることができる。攻撃が続けばコンボとなり、そのコンボが長ければ長いほど(原則)攻撃は強くなるのだが、ゲーム画面とにらめっこする時間も長くなる。ちなみに笑ったことはない。


 これにも補足を加えると、この戦闘システムが好きだという方はたくさんいる。ざっと調べただけで、等倍で手札の組み合わせをじっくり考えるのが面白い、戦闘システムが独特だから飽きが来ないとか、そんな意見をちらほら見た。実際、そうした評判を聞いて私もやりたくなったので、面白いは面白いのだろう。ただどうしても、週に2日の貴重な安息日から時間を捻出している私の心拍数と、このゲームの戦闘テンポは、ペースが合わなかった。だからいつも何かに追われていたり、せっかちを自負している人はともかく、そうでなければ一度は試してみるといいかもしれない。

ネタバレを見た以上仕方ない

 これは完全に私が悪いのだが、このゲームのストーリーには、他と一線を画すような面白い要素がある。最初に書いた通り、私はそれが気になってプレイした。ところがそこまで行った時、まぁもう後はいいかなと思ってしまったのだ。というのも、見たいものを見た以上、あまりハマらなかったゲーム性は続けるに堪えなかった。これが最初から何も知らなければ、独創的なストーリーにぐいぐい引き込まれたかもしれないが、憎きshort動画のせいで、もうその先の興味が無くなってしまったのだ。

オススメしたい人

 ここまで書いた通り、多分に私の性格、状況に左右された体験談な上に、最後までやり切ってさえいない。だからこそ私とは正反対な人ならば、楽しめる可能性は大いにある。つまり時間に余裕のある人、奥深い戦闘システムを求めている人、ネタバレをされていない人にはきっと楽しめることだろう。色々と文句を垂れてしまったが、リメイクされるほど人気があり、今でも動画で紹介されるようなゲームなのは純然たる事実だ。気が向いたときにやってみるのもいいかもしれない。余談だが、やろうと思ったなら、あまり「バテン・カイトス」なんて調べるのはよした方が良い。おそらくサジェストで重大なネタバレが出てきてしまうだろうから。

やってよかった度

 やりたいことリストを達成していくたびに、その事柄に10点満点で点数をつけている。
 今回は2点かな。気になっていたストーリーを知ることができただけよかった。多分こんなリストを作らなければ、わざわざプレイすることもなかっただろう。

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