自分の顔が大嫌い

私は親に愛されてきた。3人兄妹の末っ子で、叱られることもあったけど人生の8割くらいは優しさに包まれていた。大学も就職も地元だったから今でもことあるごとに一人暮らしの私の家を訪ねてくる。贅沢にも過保護だなと思えるくらい気にかけてくれている優しい両親だ。

そんな両親に蝶よ花よと育てられて来たのに私は、なぜだか自己肯定感が欠如している。

そしてついに今日私は気付いてしまった。

私、自分の顔が大嫌いだ。


きっかけはとあるお笑い芸人のYouTubeだった。動画の中でツッコミの方がボケの人の頭を見て「今日やば」と言った。私はそのお笑い芸人が大好きだからラジオも動画もその他SNSも見ているから知っているけど、ツッコミの方は自分が気になったら指摘してしまうらしい。いつも変なタイミングで「はげてますねぇ」とか「薄いな」とか言っている。本人が気にしているのにも関わらず。

頭を見て「今日やば」と言われたボケの方はその後終始悲しさを隠しきれてなかったように見えた。私は心が痛すぎて見ていられず動画を閉じてしまった。

私は今まで鏡を見て「よし、可愛い。」と思うことがあった。髪の毛も上手に巻けてるしリップの色も似合ってる。うん。大丈夫。可愛い。
けどほんとに大丈夫かな?って鏡を何度も見直してその度に「大丈夫。可愛い。」って心のなかで唱えてきた。

だけど鏡を見て可愛いと唱えれば唱えるほど違和感を覚えるというか。何かに気付きそうだけど蓋をしているような、そんな気持ちを抱えていた。

私にはもうすぐ付き合って4年になる彼氏が居るけど、私が好きな服装やメイクをしているときほど決まって「あんな服着れば」と系統の違うマネキンを指さして言われる。体型に関しても四六時中ぽっちゃりとか運動しないとだめとか言われる。一度歯の矯正について相談したことがある。その時は「八重歯がチャームポイントだから矯正する必要ないと思うよ」と言われた。その言葉が心底嬉しくて、何かがすっとほどけて涙が出そうになった。だけどしばらく経ったある日、「あずは歯並び悪いもんね」と言われた。一気にどん底に突き落とされたような気分だった。

今日のYouTubeを見て彼氏の私の外見に関する言葉がフラッシュバックした。ツッコミの人と彼氏の姿が重なって見えて、「はげ」と言われたボケの方に私は感情移入した。そして悟った。

「あぁ、私って自分の顔が嫌いなんだ。」

だって自分の外見に自信があれば多分自信が無い人の気持ちが分からないから、ボケの方に感情移入なんてできない。自信があれば鏡を見るたび大丈夫なんて言葉使わない。一点の曇もなく可愛いと笑えるはずだ。
ふだん女の子を執拗に可愛いと褒め倒すのも男性は中身が大事だと不自然なほど強調するのも、ぜんぶぜんぶぜんぶ、あまのじゃくなんだ。本当は外見至上主義で、本当は私が可愛いって褒められたくて、そして、苦しい。

自分で自分を可愛いと思えない私が苦しい。

愛されて育って来たのにこんなに自分を嫌いな人っているんだろうか。ごめんねお父さんお母さん。つらいよ。整形しようとかそんな気持ちはまったくない。だけど私って可愛くない。

誰かに可愛いって言ってもらえたら私はそれで満足なんだろうか。
自分の外見を好きになる方法ってあるんだろうか。
なんで人の外見を当然のようにばかにする人がいるんだろうか。
二重で痩せてて色白が可愛いって誰が決めたんだろうか。

可愛いの基準に当てはまらない私はどこの世界で生きようか。

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