とにかく歩いた話
ただ歩く。ひたすら歩く。さっき見た花火の余韻に浸りながらのんびり…できない。この人の波に置いていかれたら、駐車場までたどり着けないかも…。
4年ぶりに制限のない状態で開催された花火大会を数年ぶりに観覧した。久しぶりの開催で気合いが入っていた45分間の花火は、言葉に表せないほど美しかった。見に来て良かった、と心から思えたのだが、これからの移動を思うと多少憂鬱だった。
田舎に住む私にとって車は必需品。この日も昼間に用事があったので車で移動していた。停めた駐車場にそのまま停めていたが、会場から車のある駐車場まで結構な距離がある。田舎の車生活にどっぷり浸かっていて足腰の衰えが激しい私には途方もない距離に感じた。駐車場近くに停まるバスもあるが、会場に行く時に使って大変な思いをしたので早々に諦めた。覚悟を決めて歩き始めた。それでも最短距離で行けるルートをシミュレーションしながら。
結論から言うと、割りと早く駐車場に着いた。ルートシミュレーションが功を奏したらしい。そして自分が意外と歩けることに妙な自信を持ってしまった。それでも駐車料金を払い、車のエンジンをかけ、カーエアコンから冷たい空気が流れ始めたときは心からホッとした。もう少し体を鍛えないとな。
この日、日中の強い日差しのおかげで熱気が上がってくるアスファルトの上を一心不乱に歩いたことは、美しい花火とともにずっと記憶に残ることだろう。
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この話は実話です。本当に本当に暑かった。