帰省

ゴールデンカムイを読みました。2周目です。




本当にこの作品は面白いと思います。世間から超高い評価を受けているのも納得です。





こんなに色々やって全部うまくいっている作品はなかなかないと思います。バトルもミステリーもギャグも、キャラも心理描写も画も、さらにはアイヌの紹介まで全部やっていて、全部大成功です。こんなに色々やってもうるさくないですし、どれがいらないとか、どれかのせいで盛り下がるとか、そういうのが全くないです。全部ひっくるめてゴールデンカムイです。





まず、ストーリーが面白いです。設定から物語の進展からラストまでめちゃくちゃ練られてるなと思います。無駄なコマも少ないのでスイスイ進みます。あれだけスイスイやって31巻なので物語としての厚みを感じます。主人公のパーティーの移り変わりとかもめちゃくちゃ上手いと思います。各陣営の各キャラを違和感なく組ませて、それぞれの良さを引き出しています。敵対したり組んだり、組んだやつと敵になったりとスムーズで、かつバトルの面白さも引き立てています。スタートから大団円までまっすぐ無駄なく、それでいて綺麗すぎる回収の連続でした。



バトルシーンに迫力があるのはもちろん、動植物が本当に綺麗に描かれています。この作品は自然が大きく関わるので作画が変に邪魔しちゃいけません。美しく、圧巻の見開きは数え切れないほどです。自然の描写を大切にしないとゴールデンカムイではなくなります。また、人対人ではなく、人対動物が多い漫画です。ヒグマの躍動感は凄まじいものがありました。なんならヒグマが参戦することで物語は一層面白くなり、読者も盛り上がりました。



シリアスだけだと作者の方が不安になるそうです。そのためギャグをたくさんねじ込んでいます。腹を抱えて笑えます。声出して笑えます。意味わかんないやつと意味わかんない展開ばっかりで最高に面白いです。なんならギャグが好きで読んだ人もいると思います。シリアス回ですらラストに無理やりギャグをねじ込んできます。



キャラクターも抜群にいいです。個性は抜群ですし、なにより生き様がかっこいいやつが多いです。戦争帰りとか囚人とかばっかりなのでいかつい奴らばかりです。それぞれに役割があり、あんまり無能がいません。細かな行動や発言にも意味があります。メインキャラはとにかく深いです。囚人たちは言わずもがなです。酷い奴らばかりです。全員終わってます。最高です。個人的に敵の親玉が情報将校というのに驚きました。それまで私はトップはめちゃくちゃ強いやつという勝手なイメージだけどがありましたが、頭と言葉が強いキャラがトップというのは新鮮でした。ただ、ゴールデンカムイという作品の性質上、そういうキャラの方がよっぽど厄介です。作品の中でも一番魅力的なキャラだったと思います。



心理描写や比喩表現がこの作品の真骨頂だと私は思います。めちゃくちゃ細かいです。サラッと読むだけでは何にもわかりません。あのセリフに、あの表情に意味が込められています。アイヌの童話が紹介されるとそれに沿った展開が訪れます。それも違和感なくやります。これを表していたのかと毎回驚かされます。全部の表現を理解できている人は少ないのではないでしょうか。それくらい多彩です。キリストの最後の晩餐なんかは面白すぎました。



ゴールデンカムイではアイヌが物語の重要な要素を占めます。アイヌの文化がかなりの量、紹介されます。とんでもない取材量です。アイヌや北海道の伝統文化の保護の意味もあると思います。また、民族保護や民族侵攻についても考えるきっかけになります。強いアイヌが描かれていると思います。過去の歴史で苦しい思いをしてきたアイヌというよりは。アイヌを知れるし、アイヌを好きになれます。どんなに縦軸の話が進んでもご飯や狩りのシーンを必ず入れます。アイヌの文化の大切さを丁寧に伝えています。それもゴールデンカムイの面白さに直結しています。





漫画が上手いって感じがします。いろんな要素を高いレベルで使っています。すごいです。あと、個人的にはゴールデンカムイを読んだら何となく生存意欲が湧くような気がします。頑張ろう、生きようって感じよりまだ死ねねえって感じです。多分、主人公の影響です。パワフルな漫画です。






ちなみに実写映画も観ました。めちゃくちゃ良かったです。原作再現度がかなり高いです。続編出て欲しいです。興行収入もっと伸びて欲しいです。アシリパさんがイイ!白い!




ヒンナヒンナ

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