ホームランボールは、誰のもの?? #36
大谷翔平選手のニュースを観ていて、ふとホームランボールって、誰のものになるのか?気になり調べてみました。
ネットの情報ですと、日本のプロ野球の場合、ホームランボールは、各主催球団が所有権を有しているようです。
ただ、慣例として、ホームランボールをキャッチした人が、そのまま持って帰られるということなんですね。
ネットだけですと、何となくわかった気になって終わってしまいそうなので、もう少し調べると、面白い本がありました!
「Mine! 私たちを支配する「所有」のルール」です。
この本は、社会で起きている問題を所有の側面で解説している本です。
例えば、飛行機のリクライニング機能を無効にする器具を自分の前に備え付けてあるテーブルにつけると、前の席の方がリクライニングできず、自分にとっては快適な状況になるとき、それは、どう取り扱うのか?について、述べられています。
100万ドルのボール
Mineの本の中で、2001年のサンフランシスコ・ジャイアンツのバリー・ボンズ選手がシーズン最多ホームランを記録した時の内容があります。
登場人物の1人目は、ポポフという方で、どうしてもバリー・ボンズ選手のホームランボールをゲットしたく、過去のホームランの軌道を調べて、最もホームランが落ちそうな場所のチケットを購入し、グローブをはめ準備をしていました。
もう一人は、単に近くにいたハヤシという方です。
ポポフは、見事ホームランボールをキャッチしたのですが、その後、周囲の観客が押し寄せてきて、倒れこんだため、ボールはミットから飛び出してしまい、それをハヤシが幸運にも拾いました。
今までの慣例でいえば、最終的に拾い上げた、ハヤシさんのものとなりますが、ポポフさんは、あきらめきれず、裁判に訴えました。
考えられる選択肢
考えられる選択肢としては、以下のように、いろいろありそうです。
・コインなどで決める
・ボールを半分に割って分け合う
・交代で所有する
・もともとの所有者であるジャイアンツがもつ
・ボールに価値をつけたボンズ選手がもつ
・最終占有者のハヤシがもつ
・最初の占有者のポポフがもつ
・オークションなどかけ、売上金を折半する
裁判の結果
裁判の結果、その時の判事は、オークションにかけて売上金を折半することとしました。
これは、ポポフのグローブにボールが収まったことと、ハヤシが最終的にボールを拾い上げたことを同じ程度の所有権を主張できるという判断でした。
ボールは、45万ドルで落札され、双方に折半されました。
裁判結果を考察する
裁判結果を、今考察してみると、本にも記載がありますが、課題があるかと思いました。
具体的には、今後、同じような事象が発生した際に、無理やり押し倒しても、ゲットしようとする人が出てきた場合、最初に捕球した方を保護できない可能性があることです。
ホームランボールをゲットすることは、あくまで付随することで、主な目的は、野球を観戦することです。
ですので、楽しく観戦できるようにするためには、先に捕球した方が優先的に所有権を有するとしたほうが、いいかと思います。
巨人の観戦ルールを調べてみると、禁止事項に「 ボール等を追いかけて他のお客様に損害を及ぼしうる行為」とありますが、明らかに妨害した場合は、先に捕球した方が所有権を主張できるほうがいいですね。
所得税はどうなる??
ちなみに、このバリー・ボンズ選手の事象を参考に、所得税は、ホームランボールをゲットした時に課税できるかについて、検証した論文がありました。
これも、面白いです!
・現金化する前に課税することは可能か?
・課税化が可能であれば、ゲットした時と売った時が、違う年度の場合、2回課税されてしまうのか?
など、色々と考察されています。
こちらも、面白いのでリンク先をお知らせしておきます。
まとめ
ホームランボールから、いろいろと調べてみると面白いことが多くわかりました。
調べ、まとめること、引き続き続けていきたいと思います。
ちなみに、先に紹介したポポフとハヤシですが、ポポフは、弁護士費用を1時間単位で請求され自己破産し、ハヤシは、あらかじめ弁護士費用を成功報酬(事前に取り決めたパーセンテージ)を支払ったのみであったようです。
あらかじめ裁判前に弁護士と取り決めすることが重要であるというオチもあるようです。
アメリカは、裁判が多いのでそういった注意も必要なようですが、日本もあらかじめ裁判の際に費用をどうするかを決めておくことは、必要ですね。