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四つ目

僕の目は産まれた時から四つあった。

片方に二つずつ。

大きい目と

何も見えない小さいコロコロした目。

かゆい時もある。

イズい時もある。

けど、ずっといる。

たまに怖い夜があった。

小さい目が大きくなって

大きな目が見えなくなっちゃうって。

そんな時はカーテンを開けて月明かりを見た。

目が見えて一安心。

そして寝る。

産まれた時からずっと四つ目。

きっとこの目は僕のじゃない。

誰かにつけ忘れた目が僕についた。

だから、無くなって欲しいって思うのは

ダメな事だと思った。

かきすぎて腫れる事もあった。

瞬きが上手く出来ない。

毎月病院に行ってた。

小さくも大きくもならない。

もう何年も僕は四つ目。

ずっとこれが続くと思ってた。

けど僕は成長期を迎えた。

すると、小さい目は大きくなっていった。

いつもより目がゴロゴロする。

僕は小学6年生になってた。

この小さい目とも付き合いは長い。

目に砂が入るとすぐに腫れる。

そして、夜はかゆい。

急に小さな目が大きくなって

大きな目が見えなくなる夢を見る。

飛び起きて月を見る。

安心して寝る。

これが当たり前だった。

中学生に上がる前、更に大きくなった。

病院の先生は、

「中学生になっても消えなかったら、切り取ろう。」

と言った。

怖かった。

目に刃物が刺さるなんて嫌だ!

ただ、僕は知ってた。

無くなって欲しいって思えば

小さい目は無くなる。

それが出来なかっただけ。

これは僕の目じゃない。

きっと本当に

綺麗さっぱりいなくなっちゃう。

殺してしまう様な物。

けど、このままだと切られちゃう。

だから、居なくなってくれる様にお願いした。

すぐに綺麗さっぱりいなくなった。

大人になった今

これがなんだったのか少し分かる気がする。

おじいちゃんはイタコの家系。

目が悪い一族。

多分、誰かに付けれなかった分、自分についた。

本当はちゃんとした目になりたかったけど

なれなくて自分についたと思ってる。

小さい目も僕に悪いと思ってる。

けど、まだ居たいって言ってる気がする。

だから、消える事を望んだらダメ。

ショックですぐ無くなっちゃう。

消す事は出来たけど、大きさは調整出来なかった。

これが自分の

勝手な解釈です。

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