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日本の衰退は人口減少とは関係がない。でも今後は?

私が社会に出たのはバブルの時代です。
感覚的には自分自身の成長と同じように、日本も成長し、大人になった時最盛期を迎えたような感覚なんですね。

その後日本は長い低迷の時期を迎え、今に至るわけですが、そこでよく言われるのは日本の人口はずっと減っているのだから、日本衰退するのはあたり前。
ついでに、日本は今後少なくとも数十年間は人口減少が続くことが確定なんだから、日本の未来はお先真っ暗みたいな話です。

長期的な歴史から考えると、そういう側面があるのは事実なんですが、物事をそこまで単純化すると色々見誤ることになるのも事実。

例えば、日本の総人口のピークは2010年なんですけど、実は就業者数自体はずっと増え続けていてピークは2019年の6724万人。
コロナでちょっと減ったのですが、それでも歴史上最高レベルの数字なんです。
つまり少なくとも働く人はずっと増えているのだから、その分GDPは増えていっていいはずなのに、名目GDPは失われた30年の始まりといわれる1996年が539兆円に対し、2021年が541兆円と全くの横ばい。
一方、この間中国は17.1倍、アメリカ2.6倍と大きくGDPが伸びたばかりか、韓国も2.6倍、ドイツやフランスのような成熟国でさえ1・5倍前後ですから、本当に日本は成長しない国になっちゃったんですね。

就業人口が増えたのに、総生産が増えないということは、つまり生産効率が下がったからだ、というのはまあその通りで、最近あっちこっちで生産効率を上げるためにDX化を進めるとか、中小企業を統合するとか言われるようになったのはこの辺りに原因があるわけです。

ということで、ここまでの日本の衰退はメンタルやそれに伴う実際の消費行動の変化を置いておいて、とりあえず表面上の数字だけ考えれば人口の減少が主要因ではないのは確かです。

で、ここから先はあまり考えたくないことですが、最大の問題は、今後、ここにプラスして人口減少の影響が重なってくる、ということにほかなりません。
実質的な人口が減っていなかったのにちっとも成長できなかった上に、今度は成長のエンジンになるはずの働く人の数さえ減ってしまう、それがこれから現実になるのですね。

因みにコロナの影響で、すでに2020年から2年続けて就業人口は減っているのですが、これはちょっと例外。
その影響を除いたとして、2024年以降は継続的に就業人口は漸減していき2040年頃には今より1200万人も減ってしまうだろうと考えられているのです。

さて、そんなわけで国全体として成長するパワーはますます小さくなりそうなのですが、それ以上のことは政治が解決する問題で私たちがどうにかできることではありません。

でもね、必ずしも悲観ばかりすることばかりでもないのです。
逆に言えば、徐々に小さくなる世界では、成長したものが、相対的に周りより大きくなっていくことになるのですから。
つまり、これから先は、自分の成長が昔よりずっと大事な時代になるんです。
厳しい時代ですが、自分自身を高め続けて、何とか乗り切って行きたいものですね。