RED DAED REDEMPTION2へのラブコール

まぁ主に話したいのはオンラインの方なんですが。


広大な土地でギャングとして生きる


開発には最大で2000人が関わり、開発費と広告費は総額5億4000万US$とも推定される、もう壮大過ぎていくらなのかちっとも分からない感じで作られた大作ゲームがRED_DAED_REDEMPTION2、通称RDR2です。
グランドセフトオートシリーズでも有名なロックスタースタジオ制作の、1899年のアメリカ西部を舞台にしたオープンワールドアクションアドベンチャーである本作は、そりゃあもうはちゃめちゃにリッチな作りをしています。
前作であるRDRで度々語られるジョン・マーストンが所属するダッチ・ギャングが、雪山で法執行官からの逃亡生活を送るところから物語は始まります。
主人公は前作のジョン・マーストンとは変わりアーサー・モーガンというダッチの右腕的存在。
ギャング団としては古参で、人生の殆どをダッチと共にギャングとして生きてきた。
プレイヤーはそんな彼を通して、19世紀末のアメリカの雪山、草原、湿地帯を犯罪者として追われながら点々とします。
アーサーは既にギャング団メンバーとある程度の関係を築いた後であり、プレイヤーはキャラクターの会話やアーサーの書いている日誌から理解を深めていきます。
2018年に発売されたゲームですがグラフィックは2024年の今でもなお最高峰。陽光照らす小川のせせらぎも、視界を奪い尽くす猛吹雪も、極上の説得力を持ってプレイヤーを歓迎してくれます。
200種類を超える動植物が世界を彩り、それらを狩猟・採取する事で日々の糧を得ます。のんびり釣りなんてしようものなら、お尋ね者だということを忘れてしまいそうな程のどかです。
キャラクターの動作もいちいち写実的で、アイテムを拾うときはアイテムを手に持ち鞄に入れるまでを描写します。ワンボタンで棚に置いてあるアイテムが消えてアーサーの鞄の中に瞬間移動したりはしません。
ゲーム内で日数が経てば髪も髭も伸びていきます。床屋やキャンプで整えなければボサボサのままです。似合ってますが。
こういった要素がテンポを悪くし煩わしいと感じる人も多いと思います。しかしそれでも、ここまで「ゲーム的都合での省略」を排除するからこそ、RDR2は現実へと肉薄します。
アーサー・モーガンを中心に据えた物語は、時代に乗り遅れたギャングたち、銃でしか語れぬ男たちの行末を圧倒的説得力で描く。
アーサーの人生の助手席に座った我々は、アーサーとダッチ・ギャングがどこへ辿り着くのかを見届けることになるのです。この物語体験は極上のものです。
物語というのはどれだけ感情移入が出来るかによって質感が変わってくるものです。しかしアーサーとしてダッチ・ギャングの一員として「生活する」フェーズが意図的に取られている関係上、時間のかかり具合は個々人で違うでしょうが、最終的にプレイヤーとアーサーは奇妙な一体感を持って物語を清算します。
広大なフィールドをストーリー中に隅々まで訪れることはなく、サブクエストも積極的にプレイして漸く地図の半分が埋まるかといったところ。
そんなレッドデッドリデンプション2と同じフィールドを使ったマルチプレイ、レッドデッドオンラインも、今作には同梱されております。

本題はここから


そんな本編を作るのに息切れしたのかな?レッドデッドオンラインは早々にロックスターから見限られます。
同じくソロプレイ用のストーリーモードと、自身のアバターを作ってストーリーモードと同じフィールドを使いマルチプレイを楽しむGTA5のオンラインは10年に渡ってアップデートが続いているというのに。
RDOは2019年にベータ版から正式リリースに移ってから年に数回のアップデートを繰り返し、ある程度ゲームモードを拡張すると2021年に更新を止めます。
それから一年後にロックスターから正式に「RDOの大型アップデートは今後追加しない」という事実上の死刑宣告を受けます。
GTAオンラインはアップデートを続けてるのにですよ!?信じられますかァ!?
RDR1で行けたメキシコ地方の追加や家の購入、店の経営要素、用心棒プレイなど、広がった夢は2022年を境に閉されました。つらい。
残された夢の跡は賞金稼ぎ・密造酒製造・商人・自然探究家・収集家の5つの職業。
おい、密造酒製造で酒場作れるならそれ使って店の経営も出来るだろ。
あと密造酒製造以外の職業にもストーリーつけてくれよ。
確かに現代を舞台にしている上に空飛ぶ車なんぞなんでもありにしているGTAオンラインに比べて、19世紀末のアメリカが舞台で世界観の破壊はファンが許しそうにもないRDRだと追加できるコンテンツの幅は大きく違うと思いますし、グラフィックの作り込みはGTAオンラインに対して大変だろうとは思います。GTAはグラフィックスアップデートが5年程前(正確には覚えてません。調べてください)に行われましたが、それでも比べ物にならないほどRDR2の映像は細やかです。
しかしそれにしたって見捨てられるのが早すぎる。せめてRDR1にあったミニゲームは追加して欲しかった。
アベンジャーズ、ANTHEM、RDOと、短命なゲームを好きになりすぎなのではなかろうか。
閑話休題
RDOは当然ゲームシステム全般をRDR2から引き継いでいます。
オンラインという事は他のプレイヤーも存在しますし、一週間に一度くらいは理由なく襲われたりしますが最悪復活してでもやりかえしてやれば良いのです。
しかし大抵のプレイヤーはこちらから敵対行動をしなければ無害ですし、中規模から大規模な街でプレイヤーがドンパチやっててもこちらが積極的に参加しなければただの喧騒と変わりません。サイコキラーの宝庫である某GTAOとは大違いです。
それに他のプレイヤーからパーティに誘われて金儲けの機会を思いがけず手に入れたりします。
そういったものを別にして本編とは違い物語体験を伴わない緩慢なゲーム体験について、面白味を覚えない人は多いでしょう。
それは仕方ないが、同時に勿体無いと私は思います。
このゲームは単純なオープワールドTPSというジャンルではなく、それ以上に生活シミュレーターである事に目を向ける必要があるのです。

19世紀末のアメリカ的スローライフ


なにを置いてもまずは相棒となる馬です。
ストーリーモードでもアーサーと愛馬とプレイヤーは常に行動を共にしていましたが、オンラインモードではアバターを使う関係上より一層の愛着が湧きます。こいつは「俺の/わたしの」馬なのだと。
特典や馬屋で購入し、相棒を確保したらまだ何者でも無いあなたの生活が始まります。
最初は各地に散らばる依頼人から仕事を請け負ったり、今日の挑戦というデイリーミッションを達成すれば報酬を得られます。
それが徐々に、賞金首を引き渡すかたわら価値あるものを探し出し、動物を狩る為に移動していたら見知らぬ人からお願い事をされる。
腹が空けば缶詰や肉を食べ、馬に餌を与えながらブラッシングする。
キャンプでシチューを食べた後はコーヒーやタバコで一服する。
密造酒を売って得た金でキャンプを拡張し、新しい馬を買う。
この様に変化していく。今日の挑戦を達成するのは変わりませんが。
これは1900年のアメリカを舞台にしたスローライフゲームなのです。やってる事に犯罪が幾つか紛れ込んでいるのはご愛嬌。
最初の見窄らしい格好から一張羅に新調出来ると気分が上がります。
アーサーとして「生活する」と前述したのと同じように、オンラインでは一人の放浪者として生活することが、このゲームの本領です。
面白いことにこのゲームをしていると「生活圏」を意識することがあります。
私の場合は西部の荒野にキャンプを置き、東部の湿地帯に密造酒製造場を建てたのですが、そこを行き来するプレイスタイルだとフィールドの北部に行く事が殆ど無いのです。
逆に北部にキャンプを置くプレイヤーは西部に赴く事はほぼ無いでしょう。
そうすると狩猟出来る動物や採取出来る植物に偏りが生まれます。
アイテム収集や図鑑のコンプリートを目指すなら、拠点となるキャンプはたまには移動した方が良いのかもしれません。
それに、場所が変われば気分転換にもなりそうですし。
物語体験を提供するストーリーモードでも「生活」がフィーチャーされていたのであれば、自身のアバターを使うオンラインモードで生活する事がメインになるのも頷けます。
え、オンラインモード専用のストーリーですか?あるにはありますが……夫を殺された未亡人の復讐に付き合う話です。ストーリーモードのような口当たりではありません。
「あなたの力を必要としている人が一人は居ます」程度の、貴方がこの世界に居て良い理由の一つに過ぎません。
そしてまた、それらの人々に手を貸すかはプレイヤー次第です。
レッドデッドオンラインのゲーム体験の重要な点は、広大な世界を馬と共に生活する事、それだけです。
昨今のゲームは非常に忙しく、また膨大です。
そんなメインストリームに異を唱えるように、このゲームはとにかく移動にかける時間が多い。
しかしそれは悪いことではなく、牧歌的な日常の証拠であり、現代人にとってはゲームでしか味わう事の出来ない「生活の在り方」なのです。
なにより面白いのですよ、道を歩いていると見知らぬ人に話しかけられたり賞金首がうろついているからふん縛って保安官に突き出したり狩りをしてる人の後ろについていったり宝探ししてる人に近付いて急に撃たれたりすることが。
ハプニングに彩られた生活を送ることが。
私はこのゲームでの生活を愛しているのです。


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