37.木登り
仲良しYちゃん、無事に退院。
ギリギリまで点滴して、お家に帰った。
病院に会いに行きたかったけど、病院のHPには
“身内以外の面会はお断りしています”
との文字。
気持ちは身内なんだけどなぁ^^;
LINEで送られてくるのは、点滴をした痛々しい写真や、病室の窓から撮られた空の写真。
『空ばっかり見上げてるよ。』
ずっと寝ながら、窓を見てるんだなぁ、きっと。
空を映した写真に添えられた言葉。
『今日も外は暑そうだね。
気をつけて仕事に行ってね。』
Yちゃん、具合悪いのにぃ〜( ; ; )
ありがとう♡
そういえば…
二人で木登りして叱られた事があったね。
お昼休みとか、校庭にある雲梯でよく遊んでた私たち。
運動は嫌いだけど、手のひらに豆ができるほど、雲梯が好きだった。
正門の前にある大きな金木犀の木。
Yちゃんに
「登ってみようよ。
一度登ってみたいと思ってたんだよね〜」
と、お茶目な表情で笑って言った。
えッ……
あの木は登っちゃいけないって、先生言ってたよね。
「大丈夫!!
登ってすぐ降りてきたら分からないって!!」
…と言って、早くもYちゃんは登り始めた。
仕方なく、私も登った。
楽しい!!
風が気持ちいい!!
木登り最高!!
と、勢いよく上の方まで登ってしまったから、バカだった………
降りられなくなった(・・;)
高いところが苦手だったんだっけ…
すっかり忘れて、上の方まで登って、恐怖で降りられずにいたら、いつの間にやらさっさと降りてしまったYちゃんが
「早く降りておいでよ〜!」
と叫んだ。
降りられないの〜!!
と、私が泣き出したものだから、Yちゃんは仕方なくE先生を呼びに行った。
E先生が走ってきて、うまく誘導してくれて、あともう少し…というところまで降りることができた。
いつかの国語の授業で、
「人間は、あと少しというところで油断する。
木登りに例えると、あと10cmで地面、というところで油断して落ちて怪我をする。
それと同じように、何事もあと少しという時が一番肝心。」
という話をE先生をがしてくれたのを思い出した。
慎重に…慎重に…
ここで怪我したら大変!!
E先生は、私が無事に降りたのを確認し、そして私たちは、こっぴどく叱られた。
あれから、木登りはしない。
せいぜい自分の背の高さ以上のところには登らない。
でも、飛行機は大好き。
矛盾している高所苦手人間。
いつだったか…
私たちがまだ独身の頃だから、20歳前後の同窓会の時だったと思う。
「将来、結婚できなかったり、結婚しても旦那さんが早く死んじゃったりして、おばぁちゃんになっても一人だったらさ、みんなで一緒に住もうよ。
“寺子屋” 作って、みんなで住むの。」
そういう発想って、若い女の子がなかなか思う事ではない。
Yちゃんはずーっと先の未来を、よく語っていた。
そんなYちゃんは、このクラスの中で一番最初に結婚して、一番最初に出産した。
この時のこと、覚えてるかなぁ。
色々あった…と、簡単に語れないような人生を歩んできたあなたは、今幸せだと思っていてくれたら、私も幸せです。
…続く……🌲
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