豆腐の種類

 寒い日が続く。こんな日は湯豆腐がいい。スーパーで豆腐を買って帰ろう。豆腐も値段がさまざまである。一丁30円のものから100円のものまである。この違いはいったい何なのだろうか。

実際に買ってみた。どちらも木綿豆腐である。
一丁100円の豆腐
原材料名:丸大豆 / 塩化マグネシウム(にがり)
栄養成分:エネルギー:80キロカロリー、タンパク質:7.0g、脂質:4.9g、炭水化物1.5g、食塩相当量:0.05g

一丁30円の豆腐
原材料名:大豆 / 凝固剤、消泡剤(グリセリン脂肪酸エステル)
栄養成分:エネルギー:72キロカロリー、タンパク質:6.5g、脂質:2.4g、炭水化物:2.4g、食塩相当量:0.01g

 100円の豆腐の方がタンパク質、脂質が多く、30円の豆腐は炭水化物が多いことが分かる。食塩相当量は高い豆腐の方が高い。消泡剤は豆腐を固める際にできる泡を消すための食品添加物である。確かに豆腐の表面を見比べてみると消泡剤の入っていない豆腐は、気泡のようなものが入っているが、消泡剤が入っている豆腐は表面が滑らかである。泡を消すことにより食感を滑らかにし、また日持ちを長く保つことができるからだろうだ。大豆の栄養成分に大きな差はないだろうから、この違いは凝固剤によるものかもしれない。ということで調べてみた。

凝固剤の種類
〇にがり(塩化マグネシウム)
 海水を煮詰めて得られる結晶。凝固力が高く、凝固速度も早い。大豆独特のうま味、甘味などの風味を引き出す特性がある。
〇硫酸カルシウム(すまし粉)
 豆乳の濃度や温度に幅広く対応し、凝固速度が遅いため、扱いやすく、保水力が高いので舌ざわりのよい滑らかで弾力のある豆腐を作ることができる。
〇グルコノデルタラクトン
 熱で分解してグルコン酸になる。この酸により豆乳中のタンパク質が凝固する。この凝固剤は、水に溶けやすく、豆乳に均一に溶けるので、絹ごし豆腐や充填豆腐などに用いられる。保水性が高く、滑らかで、弾力ある豆腐を作ることができる。また凝固の速度が遅いこともあって機械による製造にも向いている。他の凝固剤が塩で反応する凝固であるのに対し、酸による凝固で豆腐を製造している。

※グルコン酸
 グルコン酸は多くの天然の食品中に存在する有機酸で、はちみつやローヤルゼリーに含まれている。有機酸でありながら、ブドウ糖と酷似した構造をしているため、トレハロースやオリゴ糖等の糖類と似た機能を有するといわれている。またグルコン酸は小腸で吸収されず、大腸へ移行し、ビフィズス菌を増やし、便通の改善に寄与することが確認されている。

 おそらく安い豆腐はグルコノデルタラクトンを凝固剤として使用していると考えられる。ゆっくり凝固するのであれば、機械での大量生産が可能であるため、これにより安い価格で販売することが可能なのではないだろうか。また、保水力が高いということは舌触りが重要な要素となる。そのため豆腐中の泡を消し、滑らかな食感を出すために消泡剤を添加しているのかもしれない。
 逆ににがりを使用した豆腐は凝固速度が早く、職人の手が必要であるため大量に製造することが難しいと思われる。高い豆腐はにがりの添加による大豆のうま味や甘味が重要な要素となるため、手作り感を出せるように消泡剤を添加していないのかもしれない。

 ちなみにそれぞれの値段は
にがり:1kg1075円、グルコノデルタラクトン:1kg1500円
である。
業務用に使用するのであれば、また値段は変わってくるのだろうが、価格では大きな差は感じられない。

 しかしながら、安い豆腐のイメージが変わった。グルコン酸による腸内環境の改善がある程度望むことができるのであれば、安い豆腐の方が最適解となる人もいるだろう。なんとなく安い豆腐は体に良くないのではないかという印象を抱いていた。自分が食べるものなのだから、食に対する正しい知識をつけることの大切さを改めて感じたよい日だった。

 さあ、今日の夕食は豆腐2丁だ。気合を入れて食べなければ。

参考資料
グルコン酸およびその塩類の特徴 ・機能 について
file:///C:/Users/Owner/Downloads/22-4_2001_171-174_Nagai.pdf
全豆連
http://www.zentoren.jp/dish/additive.html

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