見出し画像

PET検査を受ける

PET を受けにがんセンターに来た。
いつものように受付機に診察券を通し、でっかいレシートの指示に従う。
まぁ予約時間のかなり前に来ているので余裕がある。いや、時間には余裕があるが早く来ていること自体、精神的に余裕がない。
CT のところとは違って少し離れた場所にPET のコーナー?て言うかゾーンがあった。完全に時間を要するので患者はまばらだ。
受付を済ませ通路のベンチで待つ。周りの患者さんはやはり年配の方々。ここだと僕はまるで子供だな。
呼び出し機がなりオマケに名前を呼ばれ受付で細かい説明を受ける。ちゃんと水を持ってきたか確認される。
ゾーン分けされたドアを入り、恐らく放射能危険ゾーンなのだろうけど、別世界に入り込んだ。
小部屋に入り放射性物質を注射する。このとき女性看護師さんは僕に針を刺し何やら物々しい機械に管を繋ぎ「そのまま動かないでね」的なことを言ってスイッチを押して部屋から出ていった。と思う…その時の僕には全く余裕がない。
なんかピーとか鳴った気もする。僕の体内には自然には入らない物質が取り込まれていったんだろうな。
針を抜いてもらい畳半畳位の小部屋が数個並んだ部屋に案内され、小部屋のなかで検査着に着替えペットボトルの水を飲みながら呼ばれるまで待つように言われる。約30分だったかな?記憶があやふやだ。ただその間スマホを見てもいけないし寝てもいけない座ってろと言われた。苦痛だ。と思ったが、緊張してたのかあっという間に呼ばれた感じがした。
トイレに行って余分な放射性物質を出してくるように言われる。よう分からん!
とりあえず排泄し、終わったら入るように言われたドアを開ける。
これって自分で開けんの?って思うぐらいの鉄の扉に☢️マークついてんじゃん。
ドアを開けると職人のような検査技師さんがいて、めちゃ手慣れた指示と手つきで僕を検査台に寝かせ、あっという間に固定した。
ちょっと体勢嫌なんですけどと思ったが手遅れだ。彼はそそくさとガラスの向こうの小部屋に行ってマイクで僕に話しかける。
あぁこのまま何分だっけ?撮影されんのか。
僕の上を機械が何度も往復して、身体中の組織からがん細胞を探している。他には見つからないでねと考えながら検査は終わった。
あぁ、身体がギシギシする。また小部屋に戻され着替えて気分が悪くなったりしなかったら受付に声をかけてと言われる。目安の時間は言われない。
う~ん、早く帰りたい。と思って割りと早めに受付に行った。
注意事項の説明を聞いて会計行きのファイルをもらう。PET ゾーンを出ると数名の患者さんや看護師さんたちがいた。どう見ても僕はガン患者だなと悟った。
もらった注意事項には「妊婦や乳幼児には近付かない」とかかれていた。僕から一体何デシベルの放射性物質が出ているというんだろう?
まぁ僕は車だから大丈夫。
会計を待ちながらすっかりがんセンターにも慣れたなと思い始めた。
溢れかえる患者さんとその付き添いの家族さんたち。いろいろあるんだろな、どっちみち癌でここには来ているのだから、笑えてはいないよな。
僕は一人で来ている方が気が楽なんだよ。表情や気持ちを探られたくはないから。自分から話したい時に話したいんだよな。
受け止めてはいるけど、完全じゃないから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?