「コロナ規制解除後の経済状況と人気を博す温泉施設」
<世界第14位のベトナム人口>
コロナ対策により、2020、2021年とスローダウンしたベトナム経済ですが、2022年3月15日に規制全面解除、入国制限も撤廃されコロナ前の状態に戻りました。現在まで感染者総数は1,148万人、死亡者4.3万人と保健省より発表されています。ベトナム人口は世界第14位の9,900万人となり、アジアの中で最も高い経済成長が見込まれ、本年予測では 7.5%となっています。
この順調な経済成長に同期し一人当たりのGDPも2022年は4,200USドルになると見込まれており、IMFによると2023年のGDPは、前年比 8.5%の伸びが予測されています。HSBC Vietnamによると、1日当たりの所得が20USドル(約2,900円)を超える人口が2030年には4,800万人になり、全人口の半分を占めることになります。また、1日当たりの所得が50~110USドル(約7,250円~15,950円)のアッパーミドル層の人口は、2030年まで年平均17%のペースで増加すると予測されています。
これらの収入増加によりベトナム消費市場規模も、2020年代では毎年8%近く拡大すると見込まれ、アジアの中で注目される市場となっています。国民の生活水準上昇に伴い生活に余裕が出来、現在、旅行ブームとなっています。特に海水浴場や温泉施設があるリゾートに対する人気が高まっています。観光総局データによると、2022年9カ月の国内観光客数は8,680万人に達し、2021年同期比2 .8倍、コロナ前の2019年同期比でも1.3倍高く、2022年通年目標人数である6,000万人を大きく上回りました。
<ベトナムの温泉施設>
ベトナム地質探査業界では、全土で鉱水源400カ所を発見したと発表しています。その中には、温水源を含むものもあり、この温泉を利用したリゾート不動産開発も始まっています。北部で、ホアビン、クアンニン、イエンバイ等、 中部ではダナン、ビントアン、南部ではブンタウですが、最近ではホーチミン市内でも発見・開発されるようになりました。クアンニン省で開発された陽光温泉クアンハンは、2020年5月に営業開始したばかりですが、泉質も健康に良いとされ、平日は75%、週末では100%の予約が入っており大盛況だそうです。温泉への入場券(食事を含む)は、平日150万ベトナムドン(約9,000円)、週末200万ドン(約12,000円)です。
<ヘルスケアサービス付きのアパートが人気>
2020年末、ダナン市に日本の三日月ホテルが出資する宿泊施設と温泉およびウォーターパークから成る複合施設がオープンしました。温泉の入場券は20万ドン(約1,200円)で、泥風呂や薬草風呂等もあります。最近では、温泉付きアパートも不動産市場で販売されるようになりました。Swan Lake - Ecopark (フンエン省)、Wyndham Lynn Times Thanh Thuy(フート―省)、Shizen Home(ホーチミン市)等は、ベトナム投資家の大きな関心を集めています。ベトナム不動産協会によると、特にコロナの影響が高まる中、ヘルスケアサービスを提供できるアパートの家賃は、同じレベルの他のアパートより10%~15%高くても人気が高いそうです。2022年7月、ハノイ市で着工された老人ホームにも、温泉・鉱泉が付随すると広告しています。
Global Wellness Instituteの2022年報告によると、全世界の健康生活・ウェルネスツーリズムの経済規模は、2017年6,170億USドルから2019年7,200億USドルへ増加し、2025年迄に20.9%と大きく増加すると予測されています。またベトナムの同分野の経済規模の世界順位は2017年の38位から2020年33位まで上昇したそうです。ベトナムでは、あまりお風呂に長く入る習慣はありませんが、健康志向により、温泉施設の利用が一時的なブームで終らずに、ベトナムに定着し発展するかもしれません。
(ベトナム/ハノイビジネスサポーター 中川 良一)
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