韓国クィア映画がアツい『MADE IN ROOFTOP』
みなさんもう観ましたか？
なにをって『悪霊狩猟団カウンターズ』を。
私はBL以外になると語彙が「すごくおもしろかった」のみになるのでこれ以上の感想は他の方の記事にお任せするとして…。
私が伝えたいのは、このドラマに登場する悪霊、チ・チョンシン役の彼。
イ・ホンネくん。
ご覧の通りずっと目がバキバキで、バキバキのまま笑うのでとても怖い。
ドラマの中での彼は「悪霊」そのもの。
それなのに私が彼を完全に憎めなかったのは、チ・チョンシンの置かれた境遇があったからなのです。
孤児院に捨てられ虐待を受け、ようやく引き取られた先では殺し屋として育てられるチョンシン。
引き取ってくれた男を「お父さん」と呼び慕いますが、男には本当の家族、息子がいます。自分には与えられることのない愛情に、寂しそうに男とその息子を見つめる姿がめちゃくちゃ切ない。
最終的にチョンシンは男に裏切られ、悲しみと怒りで男を殺してしまうのでした。
ねぇ……良すぎん？
「お父さん」って呼びながら育ての親である男に向ける表情は本当に嬉しそうで子犬みたいでかわいくて愛おしいんです。目はバキバキです。
このとき、私の頭の片隅にひとつの思いが浮かびました。
イ・ホンネのＢＬがみたい…と……
ｱｯごめんなさいすみませんﾊﾊあるわけないですよねうそです忘れてください夢みてすみませんでしたごめんなさ…………
あった。
ありました。びっくりしました。もしかして、私のために…？
前置きが長くてすみません。ようやく本題はいります。
『Made in Rooftop』
2021年公開 87分
監督：キム＝ジョ・グァンス
見つけた動機が不純すぎて申し訳ないんですけど、本当に出会えてよかった最高の映画でした。
noteでは記事がないし、観ている人は少ないのだろうか。
ぜひ観てほしいので詳しいネタバレは避けておきます！
物語の主人公は2人。それぞれの恋の行方を描いています。
イ・ホンネ演じるハヌルは就職浪人で、年上の恋人ジョンミンと同棲中。
でも些細な口喧嘩で別れ話になり、家を追い出されてしまいます。
『Made in Rooftop』のイ・ホンネは、強烈なインパクトだった「悪霊」イ・ホンネとは全然違ってめちゃくちゃキュートで驚きました。
子どもっぽくてわがままで、面接に失敗して落ち込む姿は情けなくて、自分にベタ惚れのはずの恋人が今回は本当に別れようとしていることに焦って戸惑う様子につい笑ってしまう。
くるくる変わる表情がかわいくて、目が全然バキバキしてない。
泣きじゃくる姿は抱きしめたくなります。いたら連れて帰ると思う。
そして親友のボンシク(チョン・フィ)の屋根部屋に居候するところから展開していきます。
悲哀だけじゃない、ありのままの恋愛
直接セクシャリティに触れる描写がない分、彼らの爽やかな恋とか抱えている傷や悩みがストレートに伝わってきます。
ハヌルとボンシクのテンポのいい掛け合いが楽しく、そしてルーフトップからの開放的な景色が素晴らしい。
登場人物の1人、ボンシクと同じビルに住んでいるおばさんも要注目。
ボンシクと屋上で野菜を育てていて、なにかと二人の世話を焼いてくれる。
「パラサイト」に出演したあの人で、思わず「あ～！！」つった。
なにも言わずにただ少し離れたところで、そっと見守ってくれる存在って嬉しいなぁとしみじみ思いました。
思いがけない二人の恋の行方を見届けてくれ
ネタバレを避けるあまり全然触れてないんですけど、親友のボンシクの恋が切なくて胸が痛くなってしまいます。
動画配信で生計を立てている人気ライバーのボンシク。
恋に興味がないスタンスで、「40歳までに死ぬ」なんて言っている。
自分に好意を寄せて積極的にアピールしてくれる人が現れても、本気になろうとしないボンシク。だけどそこに隠された秘密が本当に辛かった。
普段明るくてお調子者のボンシクが見せるほんの僅かな表情の機微が切なくて切なくてもう……
どうしたらいいんだ！！！！！
って言いました。（壁に）
ふたりとも、この恋で大きく成長していきます。
辛かったり、悲しかったり、どうしようもなくて傷ついたりもするけれど、ラストはとっても優しく爽やかで、心がじんわりと温かくなります。
キム＝ジョ・グァンス監督はオープンリーゲイで、韓国で初めて同性と結婚式を挙げた方。
監督自身、同じように悩んで傷ついて、それを乗り越えてきた方だと思う。
『Made in Rooftop』のふたりの未来に、監督が望む未来があるような気がしました。
普段オタク丸出しの記事しか書いていないので、うまく伝えられた自信はまったくないのですが、心からおすすめできる作品です。
ぜひご視聴ください～～～～！！
あと『悪霊狩猟団カウンターズ』のバキバキイ・ホンネも必見です！
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