「雨穴さんとホラーと癒し」2024/8/2
雨穴さんのホラー作品に触れているとなんだか安心する。詳しいとかでは全然ないのだけど、Youtubeを全部見て、Web記事も(主要なのは)全部読んで、本も全部読んでいるくらいには好きだ。なんだか癒やされる。怖さと癒しが同居しているって不思議な感覚かもしれない。
どこに癒されるのか。雨穴さんのキャラクター的な部分で言うと、
1.感情の起伏を感じさせない造形
・仮面と全身タイツをかぶっているから人間味がなくて、こちらの感情をキャラクターへ投影できる効果がある気がする。キティちゃんとかミッフィーみたいな
・雨穴さんのことを、仮面と全身タイツを被った「人間」と認識しておらず、
不思議な造形の「生き物」として受け入れてしまっていることに気がついた。
それってすごいことかもしれない。もしリアルで遭遇して、なにかの理由で自分の家に来ることになって、暑いから、とかいって仮面を取って人間の顔が現れたら、めちゃくちゃに怖いかもしれない。当たり前のはずなのに。
2.独特のウィスパーボイス
見た目だけだと怖すぎる(初見の場合)のだけど、喋るととっても可愛い。
心地よさと不気味さの絶妙な境目にありつつも、6:4で心地よいほうに調整されている感じ。
3.上品でおっとりとした性格
テンポがゆっくりめの敬語で話しているイメージがあって安心感がある。
優しくて常識人で良い人そう。見た目とのギャップが醸し出されている。
世界観
1.少し寂しくてしっとり落ち着く感じの空気感と人間ドラマ
・まず、動画に出てくるあの空間がいい。パソコンもwindows 98とかが動いてそうな小学校のパソコンルームにあったやつみたいでなんとも言えず良い。ノスタルジーを感じる。ちょっと現実離れしていて、静けさや侘び寂びみたいなものを感じる。
・でも退屈さとは無縁。ものすごい濃い量の人間ドラマが描かれている。登場人物たちの、闇の部分。人に見せないような心の暗部が、栗原さんの推理によって徐々に白日の元にさらされていく。その過程がなんとも言えずスリリングで、次第にある一点に焦点がしぼられていくとき、とある結末にむかって演繹法的に確実に、真実がたぐりよせられていくとき、その過程がもう怖い。知りたくないことを知ってしまうような。脳のシナプスがそっちには行きたくないっていうんだけど、冷徹な論理の刃によって有無を言わさずにたどり着いてしまう。そんな野性的な力強さも感じる。
2.キャラクターの闇の部分にほっとする
一つ一つの事件には、犯罪を犯したり、何かに執着しすぎたり、倫理的に問題のある行動をしたりと、正しくない歪なキャラクターたちが出てくる。彼らの話に触れていると、そんな生き様を嫌だなと思う気持ちと同時に、なんだかホッとする気持ちもある。多分自分の中にもそういう部分があるからなのだろう。普段意識しないようにしているからこそ、歪みのようなものを120%体現しているキャラクターを見ると、心が全体性を取り戻せたような気持ちになるのだろう。
3.人智を超えたなにかに触れる
ホラー全般にいえるかもしれないけど、描かれていることは、人間の人智を超えた何かには違いなく(それがたとえ闇属性のものであっても)、自分の意志ですべてをコントロールすることに疲れている部分ががなんだかやわらぐ。
みくのしんさんとかまどさんの本に、雨穴さんの書き下ろしが載るので(いよいよ明日)今週末の一番の楽しみにしてる
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