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博物趣味満載なスケッチブック

2024年4月某日
殿さまのスケッチブック
永青文庫


細川家に伝わる貴重なお宝を保存・公開している永青文庫。
昨年の「長谷雄草紙」展はおもしろかった。さすがええもん持ってはる。
今回もユニークな切り口で魅せてくれるもん。

18世紀ごろ、日本で盛り上がった博物趣味。
細川家熊本藩6代藩主の重賢(しげかた、1720~85)は、その先駆けだったそう。
ということで、生き物大集合~なスケッチブック=図譜が盛りだくさん。

未知のいろんなことを知りたい!って気持ち、大事。
そしてきちんと形に残してくれてありがたや~
自分ちのためだけでなく、後々の人たちのためにお金を使うって、いい殿さま。
参勤交代の途中で植物採集にいそしんでいたってエピソードにグッとくる。
知的好奇心を持ち続けていたいものね。


●細川重賢

おこたでぬくまる殿さま像

博物趣味を思いっきり謳歌したであろう細川重賢。
重賢と高松藩の松平頼恭(まつだいら よりたか)は、博物図譜作りに熱中する殿さまだったらしい。
お互いの写生図を貸し借りしていたとのこと。

ちなみに植物コーナーで発覚したんだけど、細川重賢の姉が松平頼恭の妻。
親戚だったのね~そりゃあ盛り上がるね!


●博物図譜

「毛介綺煥(もうかいきかん)」

動物貝類が美しい、光輝くさま。という意味の「毛介綺煥」。
殿さまの気合いを感じる。
切り抜いて、貼り込んでいる。
何をどこに貼るかな~とか楽しみながら貼ってそう。

赤魚、フジツボぽいの、尻毛亀、鯨歯、
紅毛人から持ち込まれたワニ(ホルマリン漬け?)、毛深い毛蟹、貂…

そしてアサヒガニ。
蟹って…よく見るとエグいビジュアルよね。
特に裏というか顔の面。
そういうところも詳細に描かれている。

足が長い蟹。
足の間に文字を配置していておもしろい。
魚いっぱい、ヒミズ、シオマネキ、狼、爬虫類、メガネガラッパ。
って蟹好きだな!殿さま。
描かせた後は、美味しくいただいたのかな?


「珍禽奇獣図」

珍しい動物や鳥たち。
しわしわの象、狼、ヤマノイヌ イタチ、たぬきはフサフサ。
栗鼠、豹、カモシカは毛が硬そう。
ヤマアラシ、イノシシは顔がデカいような。
カワウソは魚をガブッとといっちゃってる瞬間。

全体的に動物の顔が怖い。
まあ博物学的な視点で描いているから、そりゃあそうか~野生丸出しで。
カワウソなんて今じゃあカワイイ部類だけど、眼が怖いもん。
江戸の奇想の絵師たちも、結構動物のキャラ立たせて描いたりしてるけど、それぞれの絵師たちが自分フィルターを通して描いてるわけだし。


「百卉侔状」

なぜか唐辛子トウガラシいっぱい。
緑黄色赤。すでにそれぞれ名前ついてる。
後のページの余白にまで貼り込んでる。
よっぽど気に入ったのかしらね~


「嘗百形状図」
珊瑚樹茄子?蕃茄?ってトマトだ!


植物の薬効と用途が記載されている。ほえ~
さらに食べられる植物の情報も。飢饉などいざという時のためにね。

肥後六花 
朝顔・菊・椿・芍薬・花菖蒲・山茶花
細川重賢が奨励したらしい。

「蕣百合雑(あさがおゆりまじり)」
朝顔もいろんな種類あるよね。
江戸の園芸ブーム、盛り上がったらしいしねえ。


「群芳帖(ぐんぼうじょう)」
花菖蒲がいっぱい。肥後六花でもあるしね


やっぱり出た~昆虫の図譜も。
コガネムシとかハンミョウの図をみるにつけ…カマキリ先生を思い出すわ~


●標本コーナーーー

植物を描くのもすごいけど、押し花的なモノはないのかな?と思ってたら少しあった。
でも旅の思い出ぽかった。意外。

殿さま、真珠を集める。
ものすご~くちっさい粒だけども。
牡蠣の吸い物から出たものも!
いちいち取り出して、紙で包んで保存していたかと思うと微笑ましい。

「白鶴浜吹寄」
天草・白鶴浜で拾った貝のコレクション。
なんでも取っておきたいというコレクション魂が炸裂。
専用の桐箱しつらえちゃうし。
ちっちゃい貝を色と種類で細かく分けててスゴい。
でもそこは殿さま、「吹寄」ってネーミングが風流なことこの上なし。

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