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服で福をゲッツ!魔除けの服 

2024年1月某日
魔除け-見えない敵を服でブロック!-
文化学園服飾博物館


2024年1発目は「魔除け」がテーマの展覧会。
世界各地のパンチの効いたお洋服が観られるのでは?と期待して。

科学の知識がない時代、病気や死は目に見えない「魔」によって引き起こされるものと信じられ、人体と外界との境目にある衣服には、「魔」から身を守る役割も求められました。
(サイトより抜粋)

服にそんな役割が課せられていたとは。
現在とはだいぶ違う感覚。
「服で自己表現!」みたいなのんきなこと言ってらんない時代があったんだねえ。

でも今でも魔物って思わぬところにいたりするし。
会社や職場にも、結構いるよね!
ということで、現代社会を生き抜く私たちにもグッとくる魔除けの服を観にいこう。


主な章立て。他にもバラエティに富んだ魔除けアイテムがいっぱい


●「魔」を遠ざける
例えば普通にかわいいワンピースも、模様や素材で「魔」を遠ざけるアイテムにレベルアップ。
光り物やシャラシャラと音が出るもの、強い匂いを発するもので「魔」をブロック!

光るものといえば、ミラーワーク。
エスニックな小物に、ちっさくて丸い鏡が縫いつけられていることがあるけども、魔除けの意味があったのね。

インドのミラーワークの服


他には雲母、金糸、コイン、真珠貝の裏側を削ってスパングルにしたり。
螺鈿細工と同じ技術。
想いは違えども、古今東西光るものに惹かれるものね。
貝はボタンとしても使用。貝ボタンってなんか好き。

そして子供用の服がかわいい。
かわいいけど、特に子どもは魔物に襲われそうだから、吉祥モチーフも追加してばっちりガードしてる。
頭も大事だから帽子的なアイテムもおそろいでしつらえる。

丁子(ちょうじ。クローブのこと)がアクセサリーにそのまま使われていてビックリ。

人面?のような顔でおなじみの犬筥がいた。


●「魔」の侵入を防ぐ
服の開いてるところから「魔」が入り込むと考えられていた。
ということで、襟・袖・裾に結界を張るべく、さまざまな模様がほどこされた。

これまたデザイン的な話かと思いきや、「魔」をブロック!する意味があったのね~
自分の魂が抜けないようにするって意味もあったらしい。
アイヌの服も、袖や裾のアップリケが印象的。

背中の守りも大事。目が行き届きにくいからね!
邪悪な視線=邪視から守るべく、刺繍がびっしりしてあったり。

これは日本の着物。子供用で背守りがついている


おもしろいところでは、櫛も魔除けアイテムだったそう。
歯がいっぱいあるので、邪視を跳ね返すとかなんとかそういう理屈。


●「魔」をまどわせる
虎、サソリ、ムカデ、蛇など、強め(ヤバめ?)の動物を憑依させようとして、服に取り込んでいた。
「魔」を躊躇させる、ビビらせる役割を求めていたとのこと。

虎の靴。虎…なのか?可愛いからいっか



服と全然関係ないけど、昔観た「五毒拳」てカンフー映画を思い出した。
ちなみに五毒はムカデ、蛇、サソリ、蝦蟇、ヤモリ。
ってどうでもいい情報だった…

タイガー&ドラゴンの絣がかっこよかった。

毒虫を食べるという孔雀が吉祥モチーフ。
心の毒を取り除いて心の安らぎを与えてくれる神のように考えられていたのだとか。
ゴージャス感もあって、よき。


●魔除けの「赤」
血や炎、太陽を連想する「赤」は特別な力があると認識されていた。
うん、なんとなく分かる。人を興奮させる色って感じだもんね。
ちなみに陰陽五行説では、南および火を表す。

赤い着物、赤い石・カーネリアン、赤糸の刺繍、ビーズ、珊瑚。
赤はポイント的に使ってもインパクトがあるよね~


●祈りと願い
「魔」から身を守るために、神仏の加護を得たい。
お守りや護符モチーフを積極的に衣服に施す。
初詣はもちろん、神社を訪れるとついお守りを買ってしまう日本人。
「魔」をブロック!するアイテムを自然と取り入れている。


デザイン的に素敵ってだけじゃなく、見えない敵を服でブロック!
するためにいろんなモチーフを散りばめていたってことが、とっても興味深かった!

「魔」を寄せつけずに、毎日健やかに過ごすぞ~との思いを新たにしたのだった。

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