中3は横倉先生
中学3年G組。担任は横倉信夫先生でした。怒ると怖かったですが、悪いことをしなければ普通に優しい先生でした。
横倉先生担当の体育の授業では、愉快な思い出があります。
■その1
季節は初冬。グランドには霜柱がたつ程度の大したことのない(?)寒い日でしたが、先生から「よーし、ラグビーやるか」と一声あったかと思うと、「裸足でやるか!」と追加注文がありました(笑)。
「先生、何を言っているんですか、グランドは凍ってます!」と男子からの反対が ―― あるどころが、全員やる気満々で大はしゃぎです。
しかし、地面は冷たいわ、霜柱は刺さるわ、で、ボールを追いかけるよりも、自分との闘いでした。兎に角、足をできるだけ空中に浮かせいることばかり考えましたが、無駄な努力と言うものでした。
体育の授業でラグビーは数回しかなかったと思いますが、この日はボールを持つ相手を追いかけ続け、「よし、やってやれ!」とばかりに、人生初めてのタックルに挑戦しました。
「ダッ!」と宙を舞い、飛びつくイメージは完璧で、僕の両手は相手の足を殆ど捕まえかけたのですが、真後ろからタックルしたため、相手の足で「ガン!」と顎を蹴られてしまい、人生初のタックルは失敗に終わりました。
「真後ろからのタックルは危険」 ―― その時の教訓ですが、それを生かす機会は、その後の僕の人生でまだありません。(笑)
■その2
それは、季節が初冬から厳寒の冬になり、確か、結構な雪の降る日だったと思います。
体育館に移動するかと思いきや、「よーし、今日は外でやるか!」と横倉先生は言いました。決して大声で生徒にはっぱかける感じではなく、ごく普通に、教科書を読むような感じで話しました。
男どもは、「先生、見てください、外は雪じゃないですか!」と強く抗議 ―― するどころか、やる気満々で元気よく「ワーイ!」と喜びました。すると、「じゃあ誰か、踏み台持ってこい!」となりました。
用具室から運ばれた踏み台を、先生は「この辺でいいか」と、吹き溜まりの上の方にセットしました。その先は少し坂になっているので、飛ぶと舞っている感じが最高です。
生徒たちは踏み台でジャンプしては、思い思いのポーズで吹き溜まりの中に突っ込みました。足から、お尻から、頭から。飛ぶ奴は大声を上げ、見ている奴は大笑いです。雪に突っ込んだ体を出すと、急いで次のお楽しみジャンプに向けて並びます。多分、3周くらいしたと思います。
全く授業と言えない時間でした。残りの時間に何をしたかは思い出せませんが、思い出づくりには十分すぎる程でした。
これを読むと、「なんて先生だ!」「いじめじゃないか!」などと思う人もいるかも知れませんね。
でも、僕の3年G組は(こういう表現は好きじゃないけど)俗にいう問題児が何人かいて、「この組では教えたくない!」と授業を止めて出て行った先生もいましたし、問題起こして警察が学校に来たこともありました。カミソリを持っていた女の子もいましたので、毎日が闘いみたいでした。
おかしなことに僕は、そうした友たちとの仲は悪くありませんでしたが、それはともかく、そうしたハードな日々の、授業を通してクラス全体が抱えていたやり場のないエネルギーを、横倉先生は、こうし形で、体育の時間に発散させてくれていたのだと思います。彼らにも、僕らにも。
大好きでした。お会いしたいです。
(まこと)
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