見出し画像

娘の結婚まで キタ――(゚∀゚)――!!

(写真は息子夫婦が旅先からよこしたもの。品が良く美しい女性がどなたかは、ファンならすぐわかりますね。)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Yちゃんが旅先からメールをくれる。息子夫婦は、岡山だの鳥取だのあっち方面へ行ったのだ。
随分とまあ遠いところ、しかも車でだ。

「若いっていいねぇ・・・」

若かりし頃を思い出しながら、もうなんだかいろいろと面倒くさくなっている自分に愕然とする。
当時家には猫4、犬1がいた。息子夫婦から預かった犬猫の分、世話が増えている。
普段、ささみとチビスケだけだと実に静かである。
が、とろがドタドタ歩き回り、行儀が悪い。
大喰らいで、人よりもウンチをする。トロ以外は全部メスなので、それぞれと遊びたがり近寄るが、パンチを食らって退散する。

めげる様子は全くなく、乾燥海老の袋を食いちぎり、今度は私に叱られているがやっぱりめげない。

おはぎ(犬)は夫大好きで、夫もおはぎが可愛くて、何も言っていないのに朝昼晩と散歩に連れて行く。そんなに無理しなくていいのに、何かしてやりたくなるそうだ。

娘とカレが来るのは昼。当然昼ご飯という事になる。
息子に聞くと、ヤツと父親が娘のカレに引き会わされたときは
「外で、中華食べた」

この辺には何もない。だから娘は
「山菜食べたい」
なんて言ってきたのだ。

普段自家消費が主なので、テキトーで良いのだが、人様に食べていただくならそれなりに完璧を期さねばならない。が、その年は寒さがしょっちゅう戻り、筍なんて育たないうちに硬くなっていた。

雨の中、夫がわらびと花わさびを採ってきたが
「どれもこれもメインにはならない」
と嘆いた。

私は
「メイン、あるよ!!! 去年採った松茸!!!」
マツタケは冷凍が利くので、ここぞの時に助かるのだ。

三日前からぜんまいを戻しにかかる。何度も水を取り替え、普段より丁寧な仕込みである。

当日が来て、朝からご飯は松茸ご飯。同じく松茸で茶わん蒸しを仕込み、
「去年のネマガリタケ」
を保存していた最後の瓶を開けて、メンマを作る。

オットが担当のワラビはあく抜きも完璧、色よく仕上がっている。
「去年採って冷凍していたなめこ」
でなめこ汁もできた。
昨日のうちに仕込んだ花わさびも、ピリリとさわやかに辛く仕上がっている。同じく夜のうちに炊いたぜんまいを夫に味見してもらったら、力強くうなずいてくれた。
夫が
「もう一品」
と言いながら、茄子とチチタケの炒め物を作ってくれた。娘の大好物でもある。
金が全くかかっていないが、絶対に食べられない布陣である。

この仕切り皿にアレとコレとコレコレを盛り付けて、ご飯がこうで、なめこ汁がこうで、そして揚げたての天ぷらをここにドーン、デザートに手作りプリンを出して・・・。

娘たちが来る前にはほとほと疲れて、ぐったりと椅子に座り込んだ。
あれこれと考え、顔がゆがんだまま落ち着かない。

「そんな顔で出るなよ」
なんて言われるほど酷い顔をしていたようだ。

「出ないよ、そもそも車の音がしたからってイソイソと出迎えはしないよ」「どうするの」
「Mが声かけて入ってくるでしょ、その時初めて出ればいいのよ」

新調したランチョンマットにとろが乗っている。
「何すんのよアンタ!!!」
キィキィと我ながらうるさい。

窓を隔ててすぐそこにいるおはぎを見て言う。
「おはぎの態度如何なのよ。おはぎは人を見るからね、怪しければ車の音だけで吠えるでしょ」

おはぎが頼りであるが、吠えたらどうしよう・・・吠えなかったらそれはそれでどうしよう・・・。

そうこうしているうちに車の音が近づいてきた。時計は 12時17分 である。
「けしからん」
と思ったが、娘からは
「12時くらい」
とのメールだったので、許容範囲なのだろうか。

娘の車で来ると言っていたから、カレの責任ではない。
が、夫も私も
「5分前集合」
を旨としているので顔は歪んだままである。

なに、単に緊張していたのだと今になってわかるのだが・・・

車の音がますます近づいた。
おはぎを見る。

夫が


「おはぎ・・・ 尻尾振ってるぞ・・・」


私は椅子に座ったままだ。

車のドアの音が2度した。ついに来た。

娘が初めて、
「男性」
を連れてきたのだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?