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経歴③独りか孤独の秘書ライフ。

2021年後半
選挙期間の約14日間、ボランティアで初めて東北を訪れた。


東日本大震災から10年の年だった。

平和だと思って見ていた景色も
美味しくてたらふく食べたものも
今目の前にいるこの人たちが
辛い思いを抱えながら、困難と向き合って
懸命に守り続けてきたものなんだと知った時
私はこの10年間何をしてたんだろう。
何故もっと早く気づけなかったんだろうと心底後悔した。


後悔や興味で頭がいっぱいになっていた頃
政治家の秘書として東北移住することが決まった。


未知の世界に挑戦した理由は3つある。

・10年前の震災の事を知りたかった
・社会問題について幅広く、働きながら学べるのは効率が良かった
・仕える人が応援したいと思える政治家だった

だが、どれも秘書になった理由として、誰にも理解されなかった。

特におじさんたちは、
必ず政治家を目指しているのか?と聞く。

違うというと、理由すら聞かず笑う。
面白くなさそうな顔をしたかと思えば、『世間知らずの小娘よ聞け』と言わんばかりに、芯がない、欲を持て、なぜなら〜とお説教が始まる。

じゃあなたたちの芯はなんなんですか?
欲って、誰のための欲ですか?
忖度や利権なしでやり遂げてる事ありますか?



心の中はいつもそう思っていた。

でも、1人で移住してきた勇気は称えてくれたし、私の寂しさを理解しようとしてくれた。決して悪いおじさんたちではない。
むしろ、親戚にいる世話焼きおじさんみたいだった。


これまでの私なら間違いなく『エゴをおしつけないでくれ』と言ってしまいそうなものも、自分の職業は秘書なんだと言い聞かせて、声を殺し続けた。
とにかく印象を与えないように、私は陰と陽の陰の役割。その場の空気に合わせてやり過ごすことに徹していた。

そんな事を続けていると、
どれだけ温かく迎えてくれても
無償の優しさを与えてくれても
ありがたいとは思えるのに
居心地の良さを感じれなくなっていた。

1人で居る時しか気が抜けなかったのだ。

良くしてくれた人たちには
こんな事言えないが、
いつも独りで孤独だった。

秘書とゆう仕事を何年も何十年も続けている人たちは凄い。本当に尊敬する。
求められる事、やれて当たり前だと思われている事のハードルは高い。

光が当たらないだけならまだしも
誰にも本心が言えないのは意外につらい。

1時間おきの訪問先で出てくる食べ物は
ありがたいが、饅頭、ケーキ、餅、おにぎり
糖質のパレードだ。

ごちそうばかりが机いっぱいに広がる会食。

先輩秘書は1年で30キロ太ったと言った時
そんなバカなと笑っていたが、
おかげさまで私も3か月で8キロ太った。

『みなさんのおかげで太っちゃいました』
それだけで大喜びしてくれた。

そんな笑える思い出もあるが

とにかく有権者の機嫌を取り続けるのが1番の仕事なのかもしれない。
言ってしまえば、おりこうな犬みたいなものだ。

とにかく秘書とゆう着ぐるみはものすごく重い。

どれだけ自分と対話したか分からない。
だが、答えを探し続けていた私を
秘書という経験が自分と向き合わせてくれた。
成長させてくれた事は確かだ。


26歳の11月を忘れる事はないだろう。
そこからの1年間はかけがえのない思い出である。
いつかあの時を振り返ろうと思った時の為に
今この頭の中を書いて残しておく事にした。



当時書き溜めていたnoteを今さら上げてみた。

まとまりのない文になってしまったが
私は今街頭で演説している政治家を見かけたら、まず秘書を探す。
役割を成し遂げている人を見たら、自分にも喝が入る。
そして陰ながら応援している。

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