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音と音のあいだに~パノフカNo.22 半音階

日曜日は娘にとなりでYouTubeを見ていてもらいながら、
私は歌の練習をした。

これがどんなに嬉しい出来事だったか、わかってもらえるだろうか。
娘が生まれて間もなく4年。今まではハプニングにつぐハプニングが勃発してどうにもこうにも練習を中断せざるを得なかった。

ハイハイがまだできなかったねんねのころ。
クッションに寝かせて発声練習に勤しんでいたら、いつ戻していたのか、振り返ると背後で静かにゲロまみれになっていた。

ハイハイし始めたころ。
伴奏の練習をしていたら、椅子にすわっている私の足のあいだからは這い出してきて弱音ペダルをなめまわしていた。

立ち上がれるようになったら、鍵盤をめちゃくちゃに叩いて遊んだり、乗っていた木馬からぬけだそうとして絡まって泣いたり。椅子によじ登れるようになったら譜面を落とし鍵盤の上にも登ろうとし、更に上へ上へ…とやばいくらいの向上心を見せつけてきて、とてもじゃないけど優雅に歌っていられるような状況ではなかった。

お昼寝の時間におぶって練習すると、そのまま寝てくれて2時間は起きないことを発見してからはおんぶで練習が日課になっていたが、その娘もすでに15kg(無理)
最近では娘がいるときは練習しないのが日常になっていた。
それができたんですよ!!
嬉しいので練習日記を書きます。


練習メニュー
・歌が上手くなるストレッチ
・念入りに発声練習(たしか10種類ぐらいやった)
・パノフカNo.22 半音階

パノフカは声楽の教本です。

「1冊終わったらすっごくうまくなっちゃうわよ~♪」

と声楽の師匠に言われ、大学生のときに取り組んでいました。
声楽を始めるとみな手にとるだろうコンコーネ50番(25番じゃありませんでした50番です50番!勘違い)は、旋律的な練習曲集という印象ですが、パノフカはもっとメカニカルな練習曲って感じです(もちろん音楽としても美しいのですが)

娘もいるし(練習終わったらお昼寝させるし)オペラアリアをさらうまで長く時間はとれないだろうと、発声を多めに声を整えようと思いました。
サ行で息を流して声帯をあたためる。
aとiの母音で響きを集めて、oとuの母音で腹筋を起こす。
ラ行で声を繋げる。rの子音で響きをあつめやすくなるからね。
久しぶりにやる発声練習もいくつかやって…ええ感じやん。

声を整えるなら…と久しぶりに取り出したパノフカ。実はめちゃくちゃ当時は苦手でした。音がなかなか取れないし、伴奏でうたうと自分が何歌ってるかわからなくなってしまって完全迷子。横浜のららぽーとで迷子になるくらいの怖さ(どれくらい…?)
中でもえぐいなと思っていたのが半音階の練習曲。No.22とNo.23で2曲ありますが、通常の長音階や短音階より半音階難しすぎる。音ハマらなすぎる。
音取りに苦手意識があった私には地獄のような曲でした。

始めはスタッカートで、次は付点のリズム、次は逆付点とリズムを変えて音と声の響きを確認していきます。半音の幅が身につくように。

次は伴奏を弾きながら歌います。
そうそう、あなたは和音が頭で鳴っていないから伴奏で歌えないのよって地元の先生に言われてから、伴奏も弾けるように練習するようになったんだけ。

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あれ?こんなにこの曲は美しかったかしら?和音の進行が美しいな。特に6小節目の和音なんだこれ好きすぎる。地獄と思っていた半音階も伴奏にのると流れるようで、なんだか素敵なグラデーションみたい。
何度かさらっているはずなのに、なんでこんなに美しいんだろう。

そのときふと気づきました。そうか、私は音符の”音”を出すことに必死だったんだな。間違えないようにと正しくと。点と点しか見ていなかったんだ。その間に豊かな音の流れがあったのに。音楽があったのに。

普段から余白とか行間とか言ってるくせして全くお恥ずかしい話です。初めて音符と音符を繋ぐ横の流れが目に見えたのですから。それはうねりというか、人をまき込むエネルギーを持っていました。

また、発見できるように練習いたします。
つらつらとした日記にお付き合いいただきありがとうございました。

世界に溢れる音楽に感謝を。

最後までお読みいただきありがとうございます。娘のおやつ代にさせていただきます…!