オリオンから堕ちたわたしたち
確かにその手を掴んでいたのに
温もりを感じていたはずなのに
醒めた夢はこの手をすりぬけていく
口からこぼれ落ちるはただ一言
*
夢を見ていた
遥か遠くからここへやってきたわたしたち
長く続く対立と争いの果て
火で火を焼きつくす
血で血を洗うそのにおい
耐えきれずふたりで飛びだした
銀河を廻るほうき星
その尾っぽにつかまって
ふたりはしっかり手を握り
ふたりはぬくもり抱きあい
まっさらに生まれ堕ちたこのほしも
戦と争いやまぬ星
ふたりのその手は断ち斬られ
ふたりのぬくもり消え去って
気づけばここはさんぐーい
駈られて走りだす
求めて走りだす
途中きこえたのは
誰かの話し声
呼びかける声
忘れ去った故郷のうた
声が降ってくる
声が天井から降ってくる
ただただ走る
光を目指してその先へ
いまいちどうまれかわるのだ
はしれはしれはしれ
大きな三角形の光のその先へ―――
*
確かにその手を掴んでいたのに
温もりを感じていたはずなのに
醒めた夢はこの手で掬えない
口からこぼれ落ちるはただ一言
『…会いたい』
最後までお読みいただきありがとうございます。娘のおやつ代にさせていただきます…!