見出し画像

オリオンから堕ちたわたしたち

確かにその手を掴んでいたのに
温もりを感じていたはずなのに

醒めた夢はこの手をすりぬけていく

口からこぼれ落ちるはただ一言

夢を見ていた

遥か遠くからここへやってきたわたしたち

長く続く対立と争いの果て
火で火を焼きつくす
血で血を洗うそのにおい

耐えきれずふたりで飛びだした
銀河を廻るほうき星
その尾っぽにつかまって

ふたりはしっかり手を握り
ふたりはぬくもり抱きあい

まっさらに生まれ堕ちたこのほしも
戦と争いやまぬ星

ふたりのその手は断ち斬られ
ふたりのぬくもり消え去って

気づけばここはさんぐーい

駈られて走りだす
求めて走りだす

途中きこえたのは
誰かの話し声
呼びかける声
忘れ去った故郷のうた

声が降ってくる
声が天井から降ってくる

ただただ走る
光を目指してその先へ

いまいちどうまれかわるのだ
はしれはしれはしれ

大きな三角形の光のその先へ―――

確かにその手を掴んでいたのに
温もりを感じていたはずなのに

醒めた夢はこの手で掬えない

口からこぼれ落ちるはただ一言

『…会いたい』

最後までお読みいただきありがとうございます。娘のおやつ代にさせていただきます…!