『春の嵐とモンスター』の魔力って何? 20240602
5月はとにかく漫画を読んだが、その中でも先が読めなくて早く次が読みたい…って漫画に出会えたのはキセキ。
それが、『春の嵐とモンスター』
ミユキ蜂蜜の漫画を読んむのは初めてなのだけど、『春の嵐とモンスター』を読んだ後、読めるだけ他の漫画を読んだ。
『なまいきざかり。』
作者の代表作だろう。なんて言ったって、大作である。23巻まである。
『野良猫と狼』
作者はBL系も書いていて、『営業ですから』も書いている。まだコミックス出てないのか? Amazonには1話売りしかないけど、これも良かった。
ある程度、作者の漫画を読んでみると、
ちょいワル、かつ、チャラい男子(だけども真面目、勉強できる、才能がある、惚れたら一途)のギャップ萌えの恋愛マンガだ。
チャラいけど真面目な男の子が、恋愛にウブな女の子(真面目かつ人間関係に悩みあり)にラブコールをしていくという構造。
このメソッドは、『春の嵐とモンスター』にも受け継がれている。が、テーマがそこにはないような気がして、読んでも読んでもわからない。
けれど、そこまで踏み込んでいくのか? いったい2人の関係がどうなってしまうのか、気になってしょうがないのである。
2人の関係とは?
主人公(ヒロイン)は、小学校時代の人間関係のトラウマを抱えて、コミュニケーションが苦手な女の子。高校一年生。
その相手役は…表紙を飾っている男の子、栢(かや)くんである。
栢くんは、主人公の母の再婚相手の息子…として主人公と共に暮らすことになる。一歳下の中学3年生で、自動的に主人公の弟になる。
夜遊び、ケンカ、性的暴力。そういう世界に身を置いていた彼を、主人公は「家族」として関わろうとする。
1人が怖いと口にする柏くんは、寂しがり屋で孤独を恐れる、無邪気な男の子だ。
対照的に、主人公は1人であることを求めて止まない。学校には通学するものの、家「安地」にこもり、ペットの子豚「孫助」を慈しんでいる。
正反対のアウトローな2人が、しだいに歩み寄っていく。アウトローな2人が関係を深くするというのは友情、恋愛なら鉄板ネタだよなと思う。
家族のために、孤独な柏と「友達」になろうと歩み寄る主人公。しかし、それはあっけなく拒否されることになる。
栢くんとの距離が縮まるなかで、柏くんは、主人公を「特別」と称す。
義姉弟であり、「特別」な相手であるが、「友達」ではない関係。
少しずつ、相手の過去の因縁を紐解いて、トラウマからの解放をするのが「花とゆめ」のお家芸?だと勝手に思っているのだが、なんだかこのマンガはその先を探しているように思う。
「おくすり」からの何か
恋愛関係に疎い主人公にとって、その行為は単に衝突事故にしかうつらない。
反対に、性的に早熟な柏くんは、寝ることもできないくらいに思い悩む。
車内で起きた事件。
それは、ただ唇が触れただけなのか、それとも2人はキスを交わしたのか?
一度きりと交わされた約束はあっけなく、「おくすり」と称されて栢くんに求められる。現状5巻目に至っては、DEEPに、そして半ば強引に、「抗えない魔力」によって主人公は流されてしまっている。
すでにカウンターとなる恋敵は存在していて、三角関係的な構図ができ始めているにして尚。
明らかに、柏くんは主人公を取られまいと画策をする。
しかし、柏くんにとってみれば、主人公は「彼女」=ヤレるだけの関係性ではない。
ならこの感情はなんなのか?
「家族」か? 「弟」か? 「恋人」か? それとも「友達」なのか?
「友達」がいなかった、2人がどんな関係を選ぶのか。この関係が「家族」から出発したことにどんな意味があるのか。
この関係がどちらに転ぶのかわからない、危険な綱渡でハラハラしてしまう。
どんな未来が見えているのかと気になってしょうがない、全部を描き切ってほしい!!と思うから、たくさんの人に読んでもらいたい。
コミックシーモアでは一巻が今のところ、6月22日まで無料。
余談
表紙が、柏くんだけっていうのが印象的すぎて意味深…。
今まで男女の対比が多かったのに、ここにきて、男役(凶暴性はあるも、純真無垢さもある)を立たせる意味って何かなーと。
それにしても、現代にあわせるチューニングがすごい。栢くんの中性的ではあるけど、ワイルドさのあるファッション、好きすぎる。
小道具の使い方も上手い…これは商品化の匂いがする…と思いながらも欲しいと思わせるのは、物語の力?なのかもしれない。
そして、花とゆめ展に何とかしていく! 『春の嵐とモンスター』もあるらしい。6月30日まで。
漫画感想まとめ。
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