読書レポート【フィンランドの教育はなぜ世界一なのか】③いじめ、④性教育(著者:岩竹美加子 2019年)

【フィンランドの教育はなぜ世界一なのか】(著者:岩竹美加子 2019年 新潮社)

https://honto.jp/netstore/pd-book_29675707.html

※書籍より要素を抜粋

■内容

#③【フィンランドはいじめの予防を目指す】

【子どもの権利を出発点にして、いじめ防止を図る】

・男女で異なる、いじめの実態

男)直接的肉体的 女)心理的

キヴァ・コウルというプログラム

-教育文科省の助成を受けて、トゥルク大学の心理学の教授サルミバリが入初した小中学校用の教材プログラム(ディスカッション・ビデオ・オンラインゲーム)、いじめとそのメカニズムに関する実証的な研究の元。例)小学4年生シュミレーションゲーム:知っている、できる、行動するでゲームで体感

-いじめに、防止・介入・モニタリングの3つの段階を設け、それぞれで何をすべきかを示す。

-いじめ:いじめる、いじめられる、いじめサブで加担、傍観者 :傍観者がいじめを維持してしまう

・いじめは重大な人権侵害、人の尊厳を失わせる、いじめられた人のウェルビーング(心身の健康)とその後の成長への大きなリスクとしちえる。

・ネット上のいじめには、法律と警察も視野に入れてアドバイス

-1920年創立のマンネルヘイム子ども保護同盟:すべての子どもに、幸せな良い子ども時代への権利がある →法律と警察などの国家レベルで解決対応

・あなたは、一人ぼっちではない

助けと支援を受ける権利がある、学校・大人は介入する義務がある

・いじめは関わり合いのスキルの問題

-まず、すべての子どもが、自分は大切で価値ある存在だと感じ、自己肯定感を持つことが大事。そのために、保育園時代から、大人はこどもたち全員とポジティブな関係を作る必要がある。保育園でいじめについて話、どんなことがいじめなのか、他人とのかかわり方を休み時間にも指導する大人がいるかどうか。

-すべての子どもがいじめられないことを学ぶ権利がある。

・なぜいじめたのか

-1・学校でいじめられた経験があり 2・家庭の問題(貧しく安全でない→自尊心や自身にかける→いじめによって自分の力を試そうとする)3・いじめによるグループの強化(我々、同調圧力)4・鏡の中の自分(周りと異なる特性、社会的スキルがない)

・いじめは法的な問題、法に基づく処罰もありうる。

基本教育法「額数に参加するものは安全な学習環境への権利がある」

マンネルヘイム子ども保護同盟「いじめは、法が規定する犯罪の特徴、様相を満たす場合、犯罪となる」

・道徳でいじめはなくなるのか

(日本)道徳の問題、とされて、道徳の強化を行う

・日本の矛盾

(日本):-ネットにつながる教育がテクノロジーを敵視する傾向がある

-市民ぐるみでいじめをなくそう、と言いながら具体策がない

問い)果たしてそうなのか、具体的なアプローチがノウハウが必要では?

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#④【フィンランドの性教育】

【フィンランドの性教育=ウェルビーングの一部として位置づけらえる、起点は自分の心身と向き合うこと】

・セクシャリティは、人生を豊かに生きていくための大切な要素

教育内容:性交、妊娠、出産は一部、保育園の時期から、身体の仕組みと成長、人を愛すること、愛されること、感情、カップルの関係、人間関係、どう生きるかということ、ライフスタイル、権利、自己決定権、相手を尊重すること、性的志向・ジェンダー、親になること、子どもがいないこと、不妊治療、家庭内暴力、性暴力、売春ポルノ、広告メディア

・日本の義務教育では性交を教えない

・愛すること、共に生きること 

中学校教科書保健:「人はみな、体と感情、考え、経験を持ち、自分のセクシュアリティを表現するスタイルがある。子ども時代に得たモデル、友達の態度、文化、宗教、様々な概念がセクシュアリティについて考えたり話したりする仕方に影響する」「自分のジェンダーとセクシュアリティを生涯固定しまう必要はない。様々な人生の過程において、経験や出会った人世界観に応じて変えたり、揺れ動いたりして構わない」

「思い切って愛すること:目指すのはパートナーとの平等な関係。ロマンチックな愛。交際によってさまざまなパートナーとの関係スキルを学ぶ。近くにいても、自分とは異なる在り方に寛容であること。お互いに交渉するスキルが必要である。どんな関係にも困難はあり、けんかは起きる。大事なのは、誤ることと許すことと、なぜ喧嘩になったか、何が原因だったのか、を共に明らかにすること。口論をどう建設的に解決するか。」

-関係の在り方が、共通理解で基づいている -どちらからも奪うものがない(平等で、双方が考慮されている)-誠意がある -双方に心地よさをもたらす 

・性暴力とは何か、起きた時の対処法

・どう生きるかは自分が決める

「パートナーから家族へ:恋することのまばゆい幸福感」激しい恋は脳とホルモンの働きによる現象で、半年から2年続くのが一般的。その後は次の恋を求める人、持続していく人など。恋することではなく愛することと2人の関係を維持してくスキル。

「様々な家族:自分が決める」

・権力とお金が性をゆがめる

・性教育は70年代から、同性婚2014年合法化、2017年施行

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■自分の感想/今後に活かすこと

・【子どもの権利を出発点にして、いじめ防止を図る】

子どもに権利があるということ、大人がそれを支える義務があることが、法律や規定で徹底されていることを理解。いじめは関わり合いのスキルの問題であり、特定の集団で起こってしまうことなので、一同で向き合ってプロセスを踏めば、実践的に解決できる問題なのかもしれない。日本での問題では、隠してしまう風土を解決していく必要があると感じた。

【セクシャリティは、人生を豊かに生きていくための大切な要素】

性を学ぶことが、自分の心身を知り、大事にすること、それが豊かに幸せに生きていくこと。恥ずかしいことでも隠すことでも避けることでもない。という人間の当たり前を前提として、保育園から教えていることに、一貫した考え方があると感じた。心と体の変化は、青春期だけではなく、人生のあらゆる過程・経験・出会いで変化していくこと、それと共にセクシュアリティも変わることに納得。日本の性教育で、このような理念がないに加え、そもそも今は子どもに「性交」を教えない(「性接触」というらしい)というのは、ちょっと問題だ感じた。(自身は習ったと思うのですが)






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