読書レポート【フィンランドの教育はなぜ世界一なのか】⑦親と学校⑧母の叙勲⑨まとめ(著者:岩竹美加子 2019年)

#⑦【親は学校とどう関わるのか】
【フィンランドの保護者組織】「親たちの同盟」

・「親たちの組織」の「親たちの同盟」:

-学校とは別の任意の市民団体、すべての学校にあるわけではなくない学校も多い。

-相談に応じたり、助言、提言する。90%は宝くじの収益金。教育庁と財団からも予算。前身は家庭養育協会。

-学校家庭内での課題、いじめ対策、障がい者移民の子らの支援、子どもと親の声を聴く。行政に影響を与えるための活動。地方自治体住民イニシアティブ。

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#⑧【フィンランドの母はなぜ叙勲されるのか】

模範的な母に与えられる勲章。フィンランドの母の日は、母が最高度の敬意を示される日、晴れがましい日。1942年以降、母の日に大統領が模範的な母たちに勲章を与えられるようになり、47年から母の日は正式な祝日、国旗掲揚。恵まれない子どもを養子にして育てた母、外国出身の母、少数民族の母、模範的な養育者、ケア分野で功績のあった女性。母のような心をもって社会に貢献した人々を叙勲。

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#⑨まとめ【おわりに】

・フィンランドの教育がシンプルかつ短時間で効率的なのは:合理主義やプロテスタンティズムの影響がある。平等を強調するのは、社会民主主義やユダヤ・キリスト教の平等思想の影響。教育の考え方は啓蒙主義。

・さらに、90年代からは子どもの権利を尊重する、国連子ども権利条約の影響で現在の形になった。民主主義やヒューマニズムの西欧的価値の中に位置する。

・平等、権利、ウェルビーングを強調する教育の考え方は、過去への反省がある。不平等で権利をもたず、不当な扱いを受けて、苦しみ悲しんだ子ども達、命を落とした子ども達がいた。そういったことを繰り返さないために。

・その背景にある政治。国の仕組み。政治腐敗が少なく透明度が高い。大統領の権限を大幅に縮小し、権力の集中を防いでいる。立憲主義、三権分立、開示の原則、市民権、人権は国家の重要事項。国家と人が一体で、独立、自由で自立、自己決定権をもち、不可侵である。権利と義務を持つ。政治への入り口は近く、保育などの身近な問題から政治へ入っていける。問題について議論する文化があり、市民イニシアティブや意義申し建ての制度が保障され、行政への参加と影響を及ぼすことが推奨される。デモやストライキは普通。

・法律が浸透しているが、中央集権ではない。(日本:法律浸透していなく、中央集権で全体主義への距離がとても近い。国家は人の上にある)

・税金が高いが、税金の不正使用や不透明な流用が少ない。社会サービスに還元されている。

・シチズンシップ教育。日本はOECD加盟国で教育への公的支出が低く、2018年は最下位。学校のICT化も遅れている。精神主義が強く、合理化が進まない。また権利の教育を受けていないため、PTAの組織にも抵抗しにくい。




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