セミナーレポート【フィンランド発『自分を生きる』とは~①乳幼児~学童期~】04/24/2020

■参加動機

世界幸福度No1となるフィンランドの教育に多大な興味。生きる本質や人間性を培う背景を、家庭・教育から丁寧に紐解いていきたいと思った。実際の生活を通して理解したいと思い参加。

■概要

フィンランド発『自分を生きる』とは~乳幼児~学童期~https://peatix.com/event/1451819

主催:エココンシャスジャパン 

ガイド:ヒルトゥネン久美子さん(フィンランド在住26年、教育と福祉のスペシャリスト、フィンランドで結婚生活、子育て、社会参加、起業を経験)

全体概要(3回):ライフステージごとにフィンランドの事例
・乳幼児~学童期
・青年期★今回の1回目
・壮年期~老年期
そのあとディスカッションで『自分を生きる』ことを考える

以下、ヒルトゥネン久美子さんのメッセージより
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フィンランドは教育や福祉、幸福度で常に注目を浴びていますが、それらは個々の単一トピックとして存在するのではなく、全てが“自分を生きる“ことと繋がっています。そして私たちがこの世に生まれてから人生を終えるまでのあらゆる場面で、時には立ち止まり自分と向き合う事の大切さも教えられます。私たち一人一人に与えられた命と人生の生き方をどう考えたらいいでしょう?フィンランドの事例を紹介しながら、3回にわたり皆さんと一緒に『自分を生きる』事を考えていきたいと思います
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■内容

2018年から3年連続して幸福度ランキング世界一となったフィンランド。
テーマでは、社会、暮らし、教育、福祉、働き方、男女参画、多様性、環境などが注目。

第1回目テーマ:「小さな子供たちの人格の尊厳を守るために、大人(社会)はどう関わるのでしょうか」
人生曲線:(妊娠期含む)乳幼児期~学童期

・1妊娠期~乳幼児期に通うクリニック、ネウボラとは
・2親になるってどういうこと?
・3育児はパパもママも一緒に
・4保育園の役割と仕事に復帰すること
・5小学校の教室はどんな感じ?

(1-4の幼児教育・子育て関連は、6月再度開催のため後日UP予定)

●1-4【幼少期】

・"私"ってどんな人?ということを徹底的に追及し、質問されて、表現していく。自分を見つめ、対話していく。

(Q)私はどんな人?どんなことが好き?どんなことを学びたい?どんな時に怒る、不安になる?どんな時に笑う、幸せを感じる?将来何をしたい?

●5【小学校・低学年】小学校の教室はどんな感じ?

■人生曲線を描く授業:継続して生きる自分の姿

小さい時どうったか、今どうなのか、これからどうありたいのかを1枚のシートに描いていく授業がある。

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■違うことが基本:自分と他者は違うことが前提。見た目も考え方も性格も違う。だから尊重しよう。違うことで自分を受け入れ、そして他者を尊重することになる。

教育支援において平等に能力を高めていくことは正解ではない。むしろ、個人の能力・特性・向き不向きによって合わせてサポートしてあげることがとても重要。

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■【自分がどうしたいかで学ぶ】

・学び手としての自分 ・自分に合った学び方 

・自分の強みを知る ・助けを求めることを学ぶ 

・少しずつ自己管理/自己責任を学んでいく

●学び手としての自分/自分に合った学び方:信頼ある、子供と教師の関係形成

・先生が考えている目的・方針を伝え、それぞれやってみたいことを自由に実践してもらう。やり方や場所については自由に。先生に交渉してやり方を相談するなども。助けが必要な時は求める。遊んでしまったら話し合う。子どもたちが自分の学び方を自分で見つける。子どもと先生の信頼関係を構築していく。

・例えばのクラス:少人数9名程度、場所は中・外自由に課題をやってもらう、自分で各々で取り組み、わからなければ先生に聞く、自分でできれば夢中に取り組む、やれなかったら先生の近くでやってもらう。信頼構築においては、距離を測りながら、子ども達に任せ自発的に取り組ませるしくみを作っている。教えるというよりも、学びを引き出す。

●自分の強みを知る:性格・感情カードを使い、自分のありのままを認識・表現していく

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カラスのカード:性格理解、感情表現と言葉のつながりなどを学校で教える。

性格理解:強みを知って伝え励ます

感情表現:どんな言葉で自分の気持ちを相手に伝えたらいいのだろうか?伝えたいことを言えなくてストレスを感じているのかも。目に見えない心の中を、自分の言葉で表現できるようになる。

●自分の弱みも知る

弱くていい、助けを求める:感情表現するボードがあり、今日・今の気分を表示する。常に変わっていい。教育者はこの子どもたちの個人の感情や気分を理解し、尊重し、自然とくみ取っていく。助けが必要な時にサポートする。

テントがあり、自分の心を落ち着ける場に今日はこもる。今日は気分が乗らないのでここで休みなどもある。恥ずかしいことではない、皆違うことを自由にやってよい。

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●最後にメッセージ:足りなくいい、欠けていていい、みんな違っていい!だから一緒に!

●対話ディスカッション:

・「私ってどんな人?(不安・幸せ)」

・「幼い頃に芽生えた、そのままの自分らしさ。大人がそれを支えてあげるには?」:聞いてあげる・受け入れてあげる・自分を見つめる習慣を大事にしてあげる。


■私の感想/今後に活かしたいこと

●フィンランド発『自分を生きる』とは、について、幼児期・小学校から徹底して大事な教育・価値観形成がされていることに感動。

●自分の生きか、学びを自分で培っていくことが徹底されている。だから自分を知り、強み弱みを理解し、自分と向き合っていく。学びも自分の責任で行っていく。

●他者との関係性においては、とにかく、自分と他人が違うことが徹底的に前提に置かれていることを理解した。自分がいて、相手がいて、お互いを尊重できる。違うから違う形でパズルをはめて助け合うことができる、助けを求めることができる。自分の強みを伝え、自分の感情や意図を相手にちゃんと伝え、受け入れてもらえる。だから無理しないで自分がありのままでいられることができる。これがどう日本社会で自然にできるのか。同化政策ではなく、個人の能力開花の教育の在り方を知った。

■参考URL:書籍『フィンランドの教育はなぜ世界一なのか』





◼️ガイドの経歴:ヒルトゥネン久美子さん

フィンランド在住26年。全日空、フィンランド航空客室乗務員を経てフィンランドに移住。現在はKH ジャパンマネージメント株式会社を経営し、フィンランド教育と福祉のスペシャリストとして視察や研修プロジェクトなどのコーディネートを手掛けている。年間の視察、研修プロジェクトは30件を超えており、日本においてもフィンランドセミナー、スタッフ研修などを提供している。現在、最大の関心事は人生のライフサークル(生まれてから亡くなるまで)の中での幼児期と高齢者に対する社会や公的サービスのあり方について。「自分がどのように人生を終えるのかを考えてみることにより、今の生き方、あり方を真剣に考えたい」ことと、未来の地球と子どもたちのために私たちが今すべきことを語り合い、行動に起こしていくことを切望している。その他の略歴としてはヘルシンキ日本語補習校運営委員長、また現在はフィンランド日本人会会長を務める

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