読書レポート【フィンランドの教育はなぜ世界一なのか】⓪(著者:岩竹美加子 2019年)

【フィンランドの教育はなぜ世界一なのか】(著者:岩竹美加子 2019年 新潮社)

https://honto.jp/netstore/pd-book_29675707.html

※本から引用し、まとめた情報

【内容】

⓪【はじめに】世界一の教育はシンプルだった

■統計・歴史・経済:

・人口5500万人、北欧の国の中では裕福な国ではない、植民地を持った歴史はなく、原油発見もなく、富の蓄積はない。80年輸出好調、90年ソ連崩壊で不況となり秘跡労働が増えた、現在やや上向き。労働市場改革・製紙業への投資増加。失業率は現在8.6%(17年)

・2000年代以降、PISA(15歳自動の学習到達度国際比較)で読解力や科学的リテラシーの多分野で1位

■フィンランド/日本の教育比較

【ない】

・入学式、始業式、終業式、運動会の学校行事がない

・授業時間が少なく、学力テストも受験も塾も偏差値もない、統一テストは高校卒業時だけ

・拘束も制服もない、部活もない、教員の長時間労働もない

・学校を取り巻く、煩雑な組織がない(連絡会議、委員会など)

地域という考えがない=学校・家庭・地域という考えがない

・高校卒業すつ大学、大学卒業すぐ正規就職しなければ、人生落伍者であるかのような意識や仕組みはない。一斉卒業、一斉就職という仕組みはない。雇用者や企業にとっては都合のよいシステムだが、個人のウェルビーングを考えたものではない。社会人という概念はないので、学生と社会人という二分化もなく、重複したり、その間をゆるやかに移動。

【ある】

理念:【子ども一人ひとりが自分を発展させ、自分らしく成長していけること】

いかに学ぶかを学ぶこと、創造的・批判的思考を身に着け、自分自身の考えをもつこと、アクティブで良識ある市民として成長することである。それが民主主義を確立する。

知識を習得したり、学力を高めたり、偏差値を上げることではない。


■特徴:平等とウェルビーング

①徹底した教育無償化と平等:

・小学校から大学まで教育費は無償:人は決して平等に生まれてこないし、平等は実現することのない理想かもしれない。しかしだからこそ、国が平等で無償の教育を提供する。

・貧富、性別、宗教、年齢、居住地、民族、静的思考の違いによって差別されることのない、等しい出発点を一人一人に保障する。そうした違いのために教育を受けられなかったり、断念したり、差別されたりすることがないよう、教育の平等を保障、一人一人の充足度を高めていくことが出発点。

・子どもの権利:憲法で保障「子どもは個人として平等に扱われなければならない。」「すべての人に生命権、個人の自由、不可侵、および安全への権利がある」(個人の不可侵:教育で、過度に干渉されたり、無理な指導に苦しめられたり、細かい高速に縛られることがない精神と体)

・子どもたち自身の教育への参加:国の教育計画を更新する際、子ども達の意見を聞いている。

・自分がどう生きるかを決めるのは自分。親は干渉しない。認め尊重する。子どもがしたいと思うことをやめさせようとしたり、したくないことをさせようとはしない・

・各学びの在り方

 優良大学や画工はあるが順位は明確ではない、エリートがそうでないかは区別がない、どこの学校・大学を出たかよりも、何を学んだか、さらにどう生き、何をしていくかが重要になってくる。

 -大学:自分で学んでいくこと

 大学は学問的・理論的、応用科学大学:実践的・実際的

 -高校:重要、成人・自立の証

 興味のあることの選択、時間割は自分で作る

 いかに学ぶかを学び、自立した市民としての知識と共用

 -小中学校:基礎教育

 学習義務はあるいが学校に行く義務はない、自宅でできる、決めるのは親

 行政から許可を得る必要はない

 -大人:いくつになっても学び直しができる

②ウェルビーング:

生きていく上での快適さ、満足度、充足感、安心感、地震、健康など

・教育の柱(権利、ウェルビーング)

・一人ひとりが日常生活の中で体感し、社会と国家の在り方に連続する心地よさ

・体感と福祉

①体感と直結した感覚;健康、体に不調がなく心地よい、日々の生活の快適さ、生き生きとしている。

気分が晴れやか、自尊心をもてる、自己肯定感がある、他人も尊重できる、人と心地よくつながっている、性的充足、不安がない、脅かされていない、差別やいじめ虐待なし、障がいがあっても支援が受けられる、権利が信頼されておらず守られている、経済的精神的に安全で安心して暮らしていける、貧困・紛争・戦争からの自由

②福祉:日常の体感と社会、国家の在り方が連続している。

日本)国家や地方自治体が国民に対して行う公的なサービスをさし、社会的弱者に対する援助。


【のち続く章】

①【フィンランドで親をやるのは楽だった】

②【フィンランド式人生観の授業と道徳】★

③【フィンランドはいじめの予防を目指す】

④【フィンランドの性教育】

⑤【フィンランドはこうして「考える力を育てている」】★

⑥【フィンランドの愛国と兵役】

⑦【フィンランドの親は学校とどうかくぁるのか】⑧【フィンランドの母はなぜ叙勲されるのか】


■自身の感想/今後の章での期待

・人が生きることを応援する社会基盤があり、それが教育で保障されていることにただただ感動するばかり。平等とウェルビーングの考え方が柱。経済成長からの人材教育ではないのはなぜできるか。理念:【子ども一人ひとりが自分を発展させ、自分らしく成長していけること】とのことで市民からみた教育の在り方が実現されているが、国家・社会どんな目的で教育があるのか。

・のちの章で世界一といわれる背景・現状の詳細、世界一のランキングのためにやっているわけではないだろう、生きる・働く・学ぶの社会価値・理念、人が成長することを社会がどう支援していくかの理念などについてをより知りたくなった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?