詩 1 近中失題
近中失題
かういふ茫々の湖も明るひもんだ
瀬々らぎにさはらうとなくさはつてしまひ
大きひ山を掌より波動が笑はせても
思つてゐるより優しひ湖だ
かれは
ここと言ふ所の険しひ涙で
この優しさを湿らしてゐる
草の畔にゐて
いまは歌をうたふのに
さうして息をつきたひのだ……
/小倉信夫
2020年5月8日に、詩人の和合亮一さんが Twitter で行った企画、詩の礫「Ladder」に参加しました。そこに投稿した詩です。
※ Ladder =梯子
※新型コロナウイルス感染症に惹起された現況を「有事」と考えて創作物をツイートする企画です。
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