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詩83 森の秋

森の秋

ことごとのまはりの明るむ姿と
姿形として考へ得なひで手の許へ明るみ
また優しく亡んでゐるその言葉の
輪りを囲ふ怪しさや影のなさと思へる位
だう思はうか
中まで在り方の定まらずに
なぞらへるばかり問ひ
あらためやうと考へ直し
耳の片はらへ仕舞ふまで盛んな反響として
いづれとまで優しく佇むやうに思ふ
ひとの官能は
いたづらに手遊びを学ぶと
それをだうもくりかへし
習ひとするうちに憎らしさも失せてしまひ
その手遊びをまた諳んじて
くちづさむやうに指にてしたため
おのづから身の何かの思ひと照らし合ひ
定まりを得るらしひ 秋も日を追ひ深まれる

/小倉信夫

2023年9月28日

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