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詩86 昨日まで
昨日まで
此所へいつ頃かの線の細さと
さういふ輪郭といふものの定かでなひ
それを表すなら
なぞらへると言ひたくなる
言葉ほどの波と
波より立ち波に連なり
自づからひとつの波や線として其の所へ在る
見当のなひ
色と色の境へ横たはり
なぞらへるとばかり言ひ表せる
其のとほくから
夜らしく薄暗くまなうらの明日まで眠ひと
居座る姿の此の所へ届ひてくる
何を言はうと
かける言葉のなく考へられて
ただその容姿を耳に聴くまま
こゑもなくて詩を手前に目を凝らしてゐる
伝へたひと言ふ前に明日も静かと思ひつつ
/小倉信夫
2023年11月2日
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