見出し画像

詩30 十二月三十一日

十二月三十一日

この冬の 冬の夜の暗ひ
暗ひと言ふより たださざなむやうな
叢の ひとつひとつの乾ひた花と
そこに寄せる 冬の
冬らしひ時の尊ひ けふの出会ひへ
またとなく夜風より
聴こへるやうな
こゑを綴つた そのこゑたちと
出会ふけふと けふとして在るこの叢の
花と草と虫のうたふ
こゑの透きとほるほど
やはらかひ しづかな風景へ
その風の色のたゆたふ今へ
あなたとゐると
それらこゑに 手を添へながら
在る思ひがして だうも切なひ
ひとはその叢のその時々の折ごとに
恥じらふやうでゐた こゑに正しく恥じらつてゐた

/小倉信夫

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?