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詩89 食らふ

食らふ

思はうにもやる瀬なく
かう言ふこころのこゑの発ち方や
またはそつとした
こゑのあらはし方から波うたせ方につひて
だうはかなまうと
雨のくだれば凍へさうな日のつどに
寄せたもののかへして行くやう
風の漂ふ木と鳥と往時のとほりの脇にゐて
思はうまでの言葉のゐどころの無さを
冬の立ち木の枯れ方の表から先へ
深めると言はうか
浅まると言はうか
ただ空のかはひた瀬々らぎに
もやふほどでゐるやうに考へられる
確かめるなら
鳥の鳴き発ち渡る日の空の
これを身のまはりと言ひたくなり
やる瀬なくただ朝の日のうるさひと思ひたひ

/小倉信夫

2023年12月17日

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