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詩90 寒さ

寒さ

今にこの陰や日や雲の湿やかさの現れ
昨日にも同じひやうに
つまびらかに其の所へ漂つてゐて
また明るまづ
目の前になくさうして色合ひをかはかせつつ
寂しくあるこゑの響き方を
森の木に喩へ
空に見られる日のおくり方に喩へ
あるひはただ詩を書くひとの
手のひとつひとつの運び方に喩へながら
それを閑かさと言ふ表し方で
目に見たり手に触れたり耳に尋ねたり
さう扱ふのが
今に適ふと思はれてきてゐる
このこゑや言葉に向かふひとの仕草を
明るさや暗さの感じ得方から
かうまで時のくりかへし
春に始まり冬に暮れるけふの切なさと見へる

/小倉信夫

2023年12月31日

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