Twitter企画「変な話をしよう」

今年初めから、春の辺りまで、前橋文学館さんのTwitterの企画、「変な話をしよう」に参加しました。投稿作を時系列にまとめています。

夜の次に朝が来て、朝の次に夜が来て、その夜の次にはたぶんまた朝が来る。一週間も一月も季節の移ろいも一年も干支の巡りも一世紀も人の一生も同じくその次にはその次の一が、たぶんある。ならば宇宙の次には別の宇宙があり、時間の次には別の時間があるかも知れない。

#変な話をしよう
#前橋文学館

   (2021年2月7日のツイートより引用)
ちょうど今の頃小学生だった私は、いつも春風になぶられる思いで歩いていました。埃っぽい道に若い草を見かけても通り過ぎていましたが、むしろ今鮮やかにそのさ緑を思い出すのは不思議です。しかしこの頃は草を踏むのを躊躇うようになりました。躊躇って踏むのですが。

#変な話をしよう
#前橋文学館

   (2021年2月12日のツイートより引用)

下は字数制限につき、改稿する前の作品です。「変な話をしよう」の企画への参加作品ではありませんが、こちらに掲載いたします。

私が子どもだった時の今の頃の思い出というと、風に吹かれながら歩いていたことばかり思い出します。その頃は埃っぽい道に若い草を見かけても、何も思わずに通り過ぎていましたが、むしろ鮮やかにそのさ緑を思い出すのは不思議です。近頃は草を踏むのを躊躇うようになりました。躊躇って踏むのですが。

   (2021年2月12日のツイートより引用)
今夜はなにか漠としている。眠らずに本を読むなら言葉へ耳を傾けてゆき、物音の寂しさを忘れる楽しみがあるが、窓辺で夜気に触れて涼むのも楽しく、言葉そのものと対している心地になる。子どもの頃はよくこんな気持ちになったのに今は日々が忙しなく、成長は口惜しい。

#変な話をしよう
#前橋文学館

   (2021年2月20日のツイートより引用)
一日、子の眠ろうと閉じた目へ、雨が温かに湧き降っていた。雨は目を青く濡らし、ぬくもらせ、新しく萌す次の雨より、目と喉を揺すり起こした。あどけなさを胸に畳んで、雨と雨の降るその日へ手から触れようと、子は、目を静かに擦っている。さも春の叢を歩くように……

#変な話をしよう
#前橋文学館

   (2021年3月24日のツイートより引用)
明るひ灯が波のやうに差してゐるとほりの合間を歩ひてゐた。さはがしひ人の声が音となく集まつてゐるおほきな部屋だつた。ずつと紙をめくる瀬々らぎが聴こへてをり、部屋を寂しく静かにしてゐる。幸ひも苦ひ思ひも現して生死の集ふ新しひ葉の葉脈のやうな部屋だつた……

#変な話をしよう
#前橋文学館

   (2021年5月17日のツイートより引用)

以上となります。
この企画は、詩人のマーサ・ナカムラさんが第28回萩原朔太郎賞を受賞したのに合わせて、前橋文学館さんがTwitterでなされた、「変な話」にまつわる創作を様々なアカウントさんたちと投稿する内容の企画です。

近ごろは、礫の他、企画にあまり参加していませんが、また機会があれば、何かしてみたいです。

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