詩91 こしらへる
こしらへる
此所へ静かに日の明るみの笑ふ
物音や人のこゑの
うるさひことものどかなことも
朝よりかう静かと言ひ
音の恰も発たずにゐる
此の寂しひところ
手にけふの菜物を持つ手の片はらにも
日の光はそつと差してきてゐる
目の前の
器のうへに整ふやう水の湛へられ
また其所にうつろふのみの
朝も遅ひ静かさばかりあるやうでゐて
これより作る
ただ水と菜物とあたたかさばかりの物も
寂しひ頃の騒がしさと言はうか
失ふものの表れてくる
食べるまへの今として
目の覚める思ひともけふを始める事とも思ふ
/小倉信夫
2024年1月10日
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