『ほの暗い永久から出でて 生と死を巡る対話』-1

2021年4月26日

緊急事態宣言が出た翌日だったが、用事があったので電車で御茶ノ水へ行った。古書店街は開けている店もあったものの、戸を下ろしている店も多く、ちょっと寂しい様子だった。私にとって本を読むことは生活の一部なので、本屋さんが店を閉めているのを見ると悲しくなるが、いまは気持ちの難しさも感じる。私の心の天秤は、どちらかへふれすぎないよう気をつけつつ、しかし自身の考え方を外さないよう努めている、というと極端だろうか……

確かにうぬぼれているかも知れないが、バランスをとって考えることの難しさも感じていて、古書店街を前に心をどう表したらいいかよくわからない。

『ほの暗い永久から出でて 生と死を巡る対話』は、その御茶ノ水から帰る車中より読み始めた。はじめから上橋さんの物語的な思考と津田さんの数学的な思考がぶつかり、しかしぶつかる地点に面白い火花が散っていて、ちょっと恐ろしさもある。

神保町の通りを歩きながら、『騎士団長殺し』を読みたいな、とふと思った。『1Q84』は読まなかったけど、『騎士団長殺し』はいつか読みたいなぁ……、と思いつつ読みのがしたままだ。村上さんの文はヴィトゲンシュタイン的なので、津田さんと上橋さんの往復書簡を読んだ後にはちょうどいい気がする。

私はそんな気まぐれな考え方で本を読んでいる。

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