こゑを手に拾ふ日より - 1

こゑを手に拾ふ日より  二〇二二年一月


 こゑ……、こころ(の内の……、)こゑを指より囁くやうな……、虫の鳴く優しひこゑ……、を思ひやつて椅子に座つてゐた。冬の風の這ふくらひ低く寒ひ広場の椅子に……。人のゐなひその広場は、とほひ秋を思ひ起こさせたのでせうか……。生死のとほひ秋を……

二〇二二年一月二五日


 向かう(の……、)とほりのその向かうまで……、消へ入るほどの日の差し、目に余る明るさのある往来にゐた。匂ひ……、と言はうか、かほり……、と言はうか、人の影の幾つもとほる路だつた。見遣るやうその(とほひ……、)風景を目に映せば、それは時の魔だつたと思ふ……

二〇二二年一月二九日


 やはらかひ…日の、朗らか……、と言ふには、しとやかであり、その日の、(日の内の(まなざし……、)の)静かな図書館にゐた。休むほどでもなく、日の陽気さを、麻の布の人心地のやうに見てをり、昼と言ふかはひた時に、日に心のほぐれるやうだつた。一つの本を手に(やはらかひ樹……、に)さはる思ひでゐた……

二〇二二年一月三〇日

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