見出し画像

詩79 午睡

午睡

何かを書くといふ気も起たず
書くまでなひことをだうあらうか
書きならべやうといふ積もりもなく
書かなければ書かなひまま
書かれやうなく文字としてあるやうな
ここに詩としてもゐなひやうな気のしてゐる
日々をつづらに折りたたんだ
日のうるさひけふを
詩とも何とも言はずに書ひてゐる
書かずにゐやうと思ひ立ち
書くことのとなりあはせにゐる思への
書かうといふまま書くでもなくあらはれる
時間を確かめ暮らしの縁をとほまはり
またどのやうにもかたどれなひで漂つてゐる
風景ともその彩りとも手触りとも
考へがたひ気怠さをまへに
書ひてもゐなひことを書くらしひ
それはまた書くことの縁を遠廻る夢かと思ふ

/小倉信夫

2023年7月23日


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?