『死者の書・口ぶえ』-4

2021年2月4日

岩波文庫『死者の書・口ぶえ』を読み終えた。読み終えるのに半年以上かかっているから、ずいぶん長いこと読んでいたことになる。読み始めは確か去年の5月だった。しかし思いついたときに読んで、またしばらくうちやり、内容を思い出したらまた読む、ということを繰り返していると次第に話がわからなくなってくる。若い頃の読書とは明らかに違った読み方をしている。

折口の文の素晴らしさに惹かれて読み出した本だったが、「口ぶえ」より「死者の書」の方がより優れていたと思えた。文の骨法がしっかりしており、一つの言葉が次の言葉を呼んでくるリズムの鮮やかさには感嘆しながら読んでいたことを思い出す。古井由吉さんの晩年の文もやや折口に近い印象を受けるが、精確には比べていない。

次にも小説を読むつもりだが、買い溜めた詩歌句集なども合間に挟めたらいいと思う。私はなかなか再読をしないのだが、少ないながら読み返す本というのはある。買いすぎると本を読むことがさながら義務のようになってしまうので、それは違うと考えており、読まぬ本もあるかも知れない。言葉は暮らしと接続しているとき、もっともあざやぐと思っている。

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