見出し画像

契約解除と解雇

翌朝。空は良く晴れて、まぶしい太陽が青空によく映えています。あまりよく眠れませんでしたが、私は勢いよく布団をはね上げると、いつもの朝のルーティンを済ませ、車に乗り込みました。

現場で問題のパート主婦と落ち合い、その場でマンションのお掃除の値引きを要求してきたお客様に連絡し、今後は依頼を受けない旨伝えました。「そんな!急に言われても困るよ!」電話口でそう言われましたが、一切無視して電話を切りました。その時の私は、人生で一番険しい顔をしていたと思います。

そのやり取りを間近で聴いていたパート主婦は大変驚いた様子でした。私はスッと能面のような表情を作ると、パート主婦に「解雇」を言い渡しました。私の知らない所でマンションオーナーと連絡を取り合い、私に黙って仕事を受けていた事は感づいていましたから、反論は一切させませんでした。

マンションのお掃除だって、私がマンションまでお掃除の道具一式を車で運び、出たゴミと道具一式を車で回収しているから、社員は身体一つで現場に行けるのです。

もし単独でお仕事を引き受けるとして、あれだけの道具やゴミをどうやって運ぶのでしょうか。車は持っていないようですから、車を買う所から、道具を買いそろえる所から始めないとなりません。

それらの問題を解決したとして、お仕事の間、車はどこに停めるのでしょうか。あの辺は駅から近く、地価も高いので、駐車料金も結構取られるでしょう。「割に合わない」と気づくまでに、さして時間はかからないでしょう。

「女の浅知恵」とよく言われます。女性にとってはとても不名誉な言葉ですが、年長者なのに、このように考えの足りない女性を見ると、そう言われても仕方がないのかなと思ってしまいます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?