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能面のような私

下の子を妊娠中にダンナに浮気され、それでも再構築という時に再び浮気が発覚。離婚に向けた話し合いでは、セクハラ気質のあるダンナの義父からは「浮気は男の甲斐性」、義母からは「ちゃんと息子の相手をしないアナタも悪いのよ!」と言われ、私はすっかり人間不信になってしまいました。

息子が可愛いのは分かります。ですが、結婚相手を裏切った息子を庇うなんて。間違ったことに対しては、例え息子であっても、時には厳しいことを言うのが「親」なのではないでしょうか?

そんなこともあり、この業界に入ったばかりのころの私は、とても荒んでいました。何の資格もなく、大した学歴もなく、「こんな底辺の仕事にしか就けないのか」と、自分の人生に対してどこか投げやりでした。

当時は30代前半ということもあり、仕事先の男性社員から食事の誘いや、付箋紙に電話番号やメールアドレスが書かれた紙を手渡されることもありました。私に誘いをかけてくるのは、体型も崩れ、頭髪も薄くなった脂ぎったオヤジです。御しやすいオンナだと思われたのでしょう。断ったり無視したりすると、そんなオヤジから嫌がらせを受けることもありました。

女性社員からはまるで汚いものを見るような眼で見られることもありました。聞こえよがしに「底辺の仕事よね」と言われたり、「あんな仕事はしたくないよね~」「だよね~キャハハ!」などの会話が聞こえてくる度に、こみ上げてくる怒りを抑えるのに必死でした。トイレの個室に設置されたサニタリーボックスの中身を捨てる時は流石にこらえきれずに、悔し涙がこぼれました。

いつしか私は、取引先では一切の感情を封印し、能面のように表情を見せない女になっていました。

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