美味しいエイリアン

 2XXX年XX月XX日。突如現れたエイリアンに日本国は侵略され始めた。
 逃げ惑う人類。何もかもを破壊し尽くそうとするエイリアン。言葉は通じないがその動きから目的は文明無きこの星だろうと推測された。
 やがて人類は徐々に疲労し、諦めていった。もう無理だ。エイリアンに全てを壊されるしかないんだ。
 そんな時、一人の男が帰ってきた。エイリアンの巣に入り込んだ戦闘員だった。
 エイリアンを殺し、殺し、殺し。しかし食料も尽き、もうダメだと悟った時。その極限状態の中、エイリアンの死骸を見て思ってしまったらしい。
 これ、食べられないか。と——

「美味かったんだ」
 焼いて食べたそれは美味しかった。
「いやでも、極限状態だったし、わからない。空腹状態だと大抵のもんは美味いからな。だから——」
 彼は懐から袋を取り出す。それの中身はエイリアンの死骸。
「持って帰ってきた」

 その死骸を研究した結果、旨味成分がとても多いことがわかった。また、調理法により様々な味が楽しめると。
「これは、食料問題も解決できるかもしれない」

 ネットで公開された研究結果により、様々な者たちが反応を見せた。人類は、諦めを捨てた。
 腹の空いた者、珍味ハンター、金儲けを狙う者、様々な者達が立ち上がっていった。

 そしてついに人類は——

「新しい仕事、どうですか」
「楽しいよ。しかし、農業やることになるとは思わなかったが」

 エイリアンの家畜化に成功した!

 もはやエイリアンを使った料理は日常生活に溶け込んでおり、食べたことのない人類は存在しないと言っても良い。
 ある意味、エイリアンは侵略に成功したのかもしれない。

 めでたしめでたし

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