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リボーンアートと石沢麻依、ウェルギリウス、屈原

2021芥川賞受賞の石沢麻依さんは仙台出身。震災と石巻の場面も登場する『貝に続く場所にて』を携えて、
石巻リボーンアートフェスティバルを巡るのはオススメです⭐︎

新訳が出たばかりの屈原BC340-278、

ついでにヨーロッパ文学の祖ウェルギリウスBC70-19も呼んでみます。

まず仙台寄りましょう^_^

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宮城県立美術館8月8日
「…私の生まれ育った仙台の三月は、冬と春の境界が常に揺れ続ける場所である。陽射しが和らいできても空気はしん、と冷たさを底に残したり、空気の温みがあっても空の灰色に…
…二〇一一年の三月十一日も、灰色の冬に巻き戻された日だった…」
石沢麻依『貝に続く場所にて』2021
⭐︎
「…夢にはふたつの門がある。
ひとつは角でできている。
真実の亡霊は簡単にそこから出てゆく。
もうひとつの門は白く輝く象牙の門で、
精巧に仕上げられているが、
そこから地上へ出てゆくのは
亡者たちが送り出す偽りの白昼夢だ…」
…Sunt geminae Somni portae, quarum altera fertur
cornea, qua veris facilis datur exitus umbris;
altera candenti perfecta nitens elephanto,
sed falsa ad caelum mittunt insomnia Manes…
ウェルギリウスBC70-19『アエネーイス』杉本正俊訳2013
⭐︎
「…そもそも天地の始まりの時のことを、だれが言い伝えたのか…
…流動するイメージだけが存在する状況を、いかなる手段で識別できたのか
光りが光りとなり、闇が闇となったのは、いかなるものの働きであったのか…」
曰遂古之初 誰傳道之…
…馮翼惟象 何以識之
明明暗暗 惟時何為…
屈原BC340-278「天問」『楚辞』小南一郎訳2021
https://www.save-mmoa.org/
宮城県美術館の現地保存を求めるネットワーク

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#RAF 6 篠田太郎:幼年期の終わりに
サエボーグ:HISS
「…野宮はその日、石巻市の彼の実家にいた。二階の彼の部屋の窓枠には漁港が小さく当てはめられ、緩やかに呼吸する海は日常の視界に溶け込んでいた…」
石沢麻依『貝に続く場所にて』2021
⭐︎
「…その時、静かな海上をテネドス島から、双の蛇が泳いできました。それは口では言えぬ恐ろしい光景でした。
蛇は巨大な輪をつくって大海原に身を横たえ、並んで岸辺を目指してきました。
胸をそらして波間にたかく揚げ、血のように赤いとさかが水上に輝いていました…」
…Ecce autem gemini a Tenedo tranquilla per alta—
horresco referens—immensis orbibus angues
incumbunt pelago, pariterque ad litora tendunt;
pectora quorum inter fluctus arrecta iubaeque
sanguineae superant undas

ウェルギリウスBC70-19『アエネーイス』杉本正俊訳2013
⭐︎
「…人々はみな競いあって財物や飲食を貪り
もう十分であるはずなのに、なお追い求めることを止めない
ああ、かれらは内心、おのれを基準にして他人のことも推し量り
それゆえ、(わたしに対して)嫉妬の心を燃やしているのだ
しかし、やみくもに駆け回り、利益を追い求めることなど
わたしの心が切望していることからは、ほど遠い…」
…衆皆競進以貪婪兮
憑不猒乎求索
羌內恕己以量人兮
各興心而嫉妒
忽馳騖以追逐兮
非余心之所急…
屈原BC340-278「離騒」『楚辞』小南一郎訳2021
リボーンアートフェスティバル2021-22「利他と流動性」
https://www.reborn-art-fes.jp/message/

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#RAF 7 オノ・ヨーコ:Wish Tree
西尾康之:磔刑
「…映像だけが記憶となるのではない…
…皮膚は周期ごとに細胞が新たなものになるが、地震から後の時間や感覚は、静かに透明な皮膚の層として残されたままなのだ…」
石沢麻依『貝に続く場所にて』2021
⭐︎
「…ちょうど冥界の入口まで来た時、玄関前広場のところに悲愁と、執念深い憂悶たちが横たわっていた。蒼ざめた諸病や悲しき老齢もそこに巣食っていた。
そして不安、諸悪の根源たる飢餓、醜悪な貧困たちが、目にするも恐ろしき形を見せていた。またそこには、死の顔もあり、労苦の姿もあった…」
…Vestibulum ante ipsum, primisque in faucibus Orci
Luctus et ultrices posuere cubilia Curae;
pallentesque habitant Morbi, tristisque Senectus,
et Metus, et malesuada Fames, ac turpis Egestas,
terribiles visu formae: Letumque, Labosque

ウェルギリウスBC70-19『アエネーイス』杉本正俊訳2013
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「…天地が無窮であることに思いをいたし、
人の生が苦労に満ちていることを悲しむ
過去はもう変えることができず、
未来がどうなるか聞き知ることができない…」
…惟天地之無窮兮
哀人生之長勤
往者余弗及兮
來者吾不聞

屈原BC340-278「遠遊」『楚辞』小南一郎訳2021
リボーンアートフェスティバル2021-22「利他と流動性」
https://www.reborn-art-fes.jp/message/

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#RAF 8 雨宮庸介:石巻13分
日和山
「…自然への眼差しは二つの神秘性に包まれていた。宗教的な文脈と観察的な視点が混ざり合い、風景自体に聖性が見出され始めていた…
…ある場所を見て過去を重ね、そこに繋がる人の記憶に思いを寄せる時、
場所の回想という独話の聞き手とならなくてはならない。
その時それは、風景画ではなく場所の肖像画となるのかもしれなかった…」
石沢麻依『貝に続く場所にて』2021
⭐︎
「…大理石から生き生きとし
た顔を作り出せる者…は別に居ろう
だがローマ人よ、おまえは采配をふるい、諸国民を治めよ。
覚えておけ。これこそがおまえの技(アルテース)なのだと…」
…vivos ducent de marmore voltus,…
…Romane, memento;
hae tibi erunt artes…
ウェルギリウスBC70-19『アエネーイス』杉本正俊訳2013
⭐︎
「…俗世を超越せんとし、帰ることなど思慮の外、心は恣に、意気は高く挙がる…
…青い雲の領域にまで昇って、どこまで遊行を続けようとしているとき、ふと目の前に旧郷の光景が広がった…」
…欲度世以忘歸兮
意姿睢以擔撟…
…涉青雲以氾濫游兮
忽臨睨夫舊鄉…
屈原BC340-278「離騒」『楚辞』小南一郎訳2021
リボーンアートフェスティバル2021-22「利他と流動性」
https://www.reborn-art-fes.jp/message/

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#RAF 9 布施琳太郎:あなたと同じ形をしていたかった海を抱きしめて
「…海王星の奥に広がる森の中に入ると、周りを緩やかに進む女性たちの姿が、不思議と描かれた聖女と重なってきた。
印象の変容は、冥王星に繋がる森にも及んでいた。
重なる葉の隙間から真っ直ぐ差し込んで縞を作る陽光は、教会の窓を透過する光のようだった…」
石沢麻依『貝に続く場所にて』2021
⭐︎
「…このまま事態が推移せんか、民草の将来は一体、何如ならむ。
これは誰にもわかっており、それをまた誰も、殊更隠しも致しておりませぬ。ただ口ではっきり述べるのをためらっているのみでござる。
もっと自由にものが言えなくてはいけませんな…」
…cuncti se scire fatentur,
quid fortuna ferat populi, sed dicere mussant.
Det libertatem fandi flatusque remittat…
ウェルギリウスBC70-19『アエネーイス』杉本正俊訳2013
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「…物質世界に欠けたところがあり、智慧を用いて明らかにできないことがあります
術数を用いても不可知な領域があり、神明で解明できないことがらがあります
あなたの心に従い、あなたの意思でやって行動してください…」
…物有所不足
智有所不明
數有所不逮
神有所不通
用君之心…
屈原BC340-278「卜居」『楚辞』小南一郎訳2021
リボーンアートフェスティバル2021-22「利他と流動性」
https://www.reborn-art-fes.jp/message/


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