谷川俊太郎と瀟湘八景

#さいたま八景 　1
「ここにいてすべての遠いものを夢見よう…」
谷川俊太郎「地球へのピクニック」
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「風景というのはただそこにあるだけの自然ではなく、あくまで人間の文化的な枠組みにおいて認識され共有されている観念であるはずで、そういった「認識」「共有」は、ことばによって行われるしかないものです。
単純には名付けること、もう少し複雑には詩歌に詠むことによって、それは風景として新たな価値を帯びるわけです。
人間はことばを媒介にして自然との親和的な関係を結ぶ、と言ってもいいかもしれません…」
堀川貴司『瀟湘八景　詩歌と絵画に見る日本化の様相」
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〈瀟湘夜雨〉
古渡沙平漲水痕
一篷寒雨滴黃昏
蘭枯惠死無尋処
短些難招楚客魂
〈洞庭秋月〉
四面平湖月満山
一阿螺髻鏡中看
岳陽楼上聴長笛
訴尽崎嘔行路難
〈煙寺晩鐘〉
鐘送斜陽出暮山
遙知煙寺隔前湾
山翁莫怪掃来晚
欲待拳頭月上還
〈遠浦掃帆〉
無辺刹境入毫端
帆落秋江隐暮嵐
残照未取漁火動
老翁閑自說江南
〈山市晴嵐〉
雨拖雲脚斂長沙
隐々残虹带晚霞
最好市橋官柳外
酒旗摇曳客思家
〈漁村夕照〉
一江晴日滿沙汀
売尽魚来酒半醒
蓑笠未乾椰板静
一声横笛数峯青
〈江天暮雪〉
万里江天万里心
飄々花絮灑平林
橋橫路断馬蹄滑
更說藍関転不禁
〈平沙落雁〉
点々随群旧处棲
藝花芦葉暗長堤
天寒水冷難成宿
猶自依々怨別離
《伝・玉澗作瀟湘八景詩》（拠『瀟湘八景』）
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