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石の上にも三年

「石の上にも三年」とは「石の上にじっと3年も座っていれば石も暖まる」ということから、どんなに辛くても辛抱していればやがて良いことがある、という意味だそうだ。

この諺を思いだしたのは、最近ようやくコロナが収束しそうな気配になり、ああ、ちょうど3年経ったんだ、と気づいたからだった。
2020年の初めに始まったコロナ禍は、当初、重症になったらすぐに死んでしまうという恐怖心を私たちの脳に植え付けた。不要不急の外出を極力控え、外出するときは必ずマスクを着用し、3密を避けねばならなくなった。仕事も学校も可能な限りリモートで行われ、人との対面・接触はできる限り避けるようになった。飲食店(特にお酒を提供する店)でコロナのクラスターが起こったとマスコミで大きく取り上げられると、飲食店に行く客が激減し、閉店せざるをえなくなった店が続出した。生活全般がコロナによって大きく変わってしまったのだ。

この3年間「コロナが収束したら会おうよ」「コロナが落ち着いたら飲みに行こう」「コロナが終わったら旅行に行きたいね」など、いつになるかわからないコロナ収束の日を夢見て、そんな話をしていた私たち。

あれから3年。気づくとコロナの感染者数は激減し、かかっても重症化する率が格段に減ってきた。私の家族や知り合いにもコロナにかかった人がたくさんいるが、「私、コロナにかかって……」と聞いてもあまり驚かなくなった。

そして「コロナが収束したら〇〇しよう」と言っていたことを実行できるときがようやくきたのだ。石の上にも3年、コロナ禍も3年。3年経って、やっと大手を振って外に出られるようになったのである。マスクももうしなくていいらしい。ちょっと信じられないけれど。

3月は友人と会う計画がいくつかあって、楽しみにしている。ただ、3年間引きこもっていた間に確実に外の世界は変わっているだろうから、都会に出るのは「プチ浦島太郎気分」でもある。それに3年間のマスク生活で、マスクの下の顔が3年分(いや、それ以上)経年劣化しているから、外していいと言われても、もはやマスクは絶対外したくないと思う。

それでも、会いたい人には会えるときに会っておかねばと思う。そのうちに、なんて思っていると、別の災いが起こって、いつなんどき自由な行動を奪われるかもしれないからだ。伝染病の流行も怖いが、次は大地震が来るかもしれない。この一瞬の春の輝きを満喫したいと思う。



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