無題

泥酔してうとうとしている私を「家の前でメスのクワガタがひっくり返っているから」と連れ出した。

だいたい家の前で拾うクワガタ、カブトムシは手足に埃っぽい塊がついている……


良いか悪いかは別として、私はひっくり返ったクワガタ(多分)を拾い、その辺の木に離した。


私は愛らしいクワガタが手を這う感触を木に着くまでずっとずっと感じながら、置くようにしてクワガタを木に離した。

すぐにクワガタは落ちた。

多分衰弱していた。


私はまたクワガタを拾って、今度は木よりもずっと低い草むらに離した。

その後は知らない。


自然の話で、「ヒトは介入しないべきだ」という考え方が特に多くある。

だいたい私もその意見に同意する。


でも、それを肯定するならば、私はクワガタをわざわざ拾って、触って、草むらに離してやる必要なんてなかったのかもしれない。

ヒトの菌だ臭いだなんていう意見もある。残念ながらムシに着くかだとか、ムシに着いたとて影響があるかは知らない。



どこまでがニンゲンのエゴなんだろう?

エゴは醜いんだろうか?

矛盾は醜いんだろうか?

命ってなんなんだろう?



いつまでも、考えてしまう。


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