夕日見て何想う



 仕事中、フロアの隅っこにある小さな窓からきれいな夕日が見えると、パソコンをたたく手を思わず止めてしまう。こんなに外がきれいなのに、自分は箱の中に閉じこもって何をしているのだろうって。いても立ってもいられなくなり、こっそり5分ほど抜けて夕日を見に行くのが日課だ。
 赤、青、黄色、オレンジ、紫、ピンク。ひとことで言い表せない、いろんなものがごちゃ混ぜになった色。毎日、違う表情を見せてくれる。やがて日が落ち、夜空に変わる瞬間が好き。
 あまりにも壮大な空につい自分の心を委ねてしまう。うれしさ、切なさ、恋しさ、悲しさ。一日がんばった自分へのねぎらい、過ぎ去っていく時間の流れ、生きていることへの実感、帰る場所があることのあたたかさ。心が沈んでいるときほど綺麗に思えるのはなぜだろう。日々、いろんな気持ちが交差する。
 きょうはなんだか、懐かしい気持ちになった。そう遠くない、だけどかなり前のことのように感じる出来事。二度と会えない、救えなかった人のこと。しばらく会っていない人のこと。いずれ会えなくなるかもしれない人のこと。心にひっかかったとげが痛んで、すこし泣きたくなる。
 あっという間に日は沈み、またすぐあしたに変わる。夕日がきれいだと思えるうちはだいじょうぶ。すさまじい速さで進んでいく日々で時々、自分を見失いそうになることもあるけど、この時間があればやっていける気がしている。きょうも、おつかれさま

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