【エッセイ(ミニ)】「なにこれっ」の使い方

 コロナ禍で旅行番組やロケ番組がなかなか出来なくなった、と聞きました。

 訪れた土地の美しい景色やアクティビティを紹介したり、美味しいものをいただいたりというレポートを、withコロナ・afterコロナの世界で行うにはこれまでのやり方に加えて新しいアイデアが必要かもしれません。

 ところでブログにも書いたんですが、テレビや動画サイトで訪れた先の素晴らしい景観を見たとき、または美味しいお料理やスイーツを食べたときの レポーターさんやタレントさん、そして一般の方が使うセリフとして

「なにこれっ⁈」

が使われることが増えましたねー笑。ほんとよく聞きます。聞かない日はないんじゃなかろかと思います。

美しい景色なら「綺麗です」とか美味しいものを食べたら「美味しい」とか「美味しゅうございます(懐かしい)」、と語っていたのはもうずいぶん昔のことのよう。「なにこれっ」(ちいさな「っ」が入るイメージ)はどんな場面でも言っておけば場を乱さない、ハズレのないセリフになりました。

けれど本来は意味が分からないもの、状況に対して使うのが「なにこれ」のようですから、実はこの「なにこれっ」の最近の使い方に私は違和感がありました(私だけはないはず)。もちろんタレントさんなら美味しいものを食べたとき「美味しい」よりさらに違う表現を求められることもあるでしょうし、単にボキャブラリーがないと言ってしまえばそれまでですが、結局なにこれコメントをしている方の表情を読み取らないと肯定の感想なのか、否定の感想なのかがわからないという不思議な使われ方だなと感じていたんです。

けれどある番組で70~80代の年配の男性がリフォームされたご自身の家を見て「なにこれっ」と仰って、驚かれたあと感動で涙をうかべて感謝されていました。このシーンを見て私も感動しました…。

言葉は形だけではなくて使われ方も変えながらその時代にあったコミュニケーションを助けてくれるツール。「なにこれっ」は溢れ出るたくさんの感情を包んでいるセリフなんですね。柔軟さを持ち進化してゆく日本語の強さを感じます。


ところで先のシーンの「なにこれっ」をたとえば英語に訳すと「delicious」?「wonderful」?「amazing」?

きっと全部正解ですね☆


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